第5回|“なんか忙しい”を数値化する:ムダを見える化するデータの使い方
公開日
2026年1月20日
更新日
2026年1月27日
この記事の主な内容
はじめに:「忙しいのに成果が出ない」の正体
多くの職場で聞こえてくる言葉があります。
・とにかく毎日バタバタしている
・忙しいのに仕事が減らない
・メンバーが疲弊している
しかし、その“忙しさ”の正体を数字で説明できる人は驚くほど少ないものです。
結論から言うと——
業務改善の第一歩は、“忙しい”を感覚ではなくデータで見ること。
今回は、実例とともに「ムダを見える化するデータ活用」をわかりやすく紹介します。
1|実例:忙しいと言いながら、どこに時間が消えているか分からない
● 実例1:業務量は多いが、成果が伸びないチーム
メンバー:
毎日やることが多すぎます!時間が足りません!
上司:
何にどのくらい時間を使ってる?
メンバー:
……(正確には分からない)
実際に1週間だけ「時間の使い方」を簡易記録してみたところ——
・会議:35%
・承認待ち:20%
・資料作成:25%
・本来の主業務:20%
忙しさの半分以上が“成果に直結しない時間”だったことが判明。
この可視化により、会議削減・承認フローの見直しなど具体的な改善が一気に進みました。
● 実例2:長年続いている申請フローがボトルネックだった
別の企業では、申請プロセスが複雑化し、処理が遅延していました。
担当者:
このフローは前からこうです。変えられません。
しかしデータを取ってみると——
・手続き全体の平均処理時間:40分
・うち「ハンコ待ち」が20分を占める
さらにミス件数を見ると、
・ハンコ工程が全体の60%のミスを生んでいた
改善すべきはフロー全体ではなく「ほんの1カ所」だったのです。
2|“忙しい”を数値化するための3ステップ
忙しさの正体をつかむために必要なのは、複雑な分析ではありません。
次の3ステップだけでOKです。
● ステップ1:分類する(ざっくりでOK)
まずは、業務をざっくり分類します。
例:
・会議
・事務作業
・本来業務
・待ち時間
・コミュニケーション
10種類以上に分ける必要はありません。5〜6分類で十分です。
● ステップ2:記録する(正確でなくていい)
ビジネス初心者ほど「正確じゃないとダメ」と思いがちですが、重要なのは“傾向”です。
例:
・1週間だけ、15分単位でざっくり記録する
・スマホのメモでもOK
・各業務の時間を大まかに書くだけ
感覚では気づかなかったムダが浮かび上がってきます。
● ステップ3:割合を見る(ここが本質)
時間の“総量”ではなく、“割合”を見ます。
例:
・会議:40%
・資料作成:30%
・待ち時間:15%
・本来業務:15%
この割合が現状の“本当の姿”です。
改善はこの割合をどう変えるか、という視点で考えます。
3|実例:数値化によって改善が進んだケース
● ケース1:会議削減が会社の利益に直結
ある企業では、マネージャーが週10時間会議していました。
実際に会議の価値を検討すると——
・なくして問題ない会議:40%
・参加しなくてよくなる会議:30%
結果、会議削減だけで年間500時間以上の時間を創出。
その時間を顧客対応や改善活動に回すことで、売上が改善しました。
ムダな会議は、利益を食い潰す「コスト」であると認識されるようになりました。
● ケース2:承認フローの見直しでチームのストレスが激減
承認業務を10日間だけ記録したところ、
・承認待ちが平均2.5日
・承認自体は1分で終わる
という「無駄な待ち時間」が明らかに。
承認権限を委譲するだけで、全体のリードタイムが急改善。
チームのストレスも大幅に軽減されました。
4|改善を進めるためのデータドリブンな“問い”
データを使った改善で重要なのは、“問い”です。
上司・リーダーが次の問いを投げかけることで、改善の質が変わります。
● 問い1:この作業、本当に必要?
長年の慣習で続いている業務ほど、ムダが潜みがちです。
● 問い2:誰がやるべき?
作業をその人がやる妥当性を見直します。
● 問い3:もっと楽にできない?
テンプレ化、ツール化、簡略化の余地を探します。
● 問い4:何が一番時間を食っている?
“最大のムダ”を攻めることが最も効果的です。
この問いを繰り返すだけで、チーム全体の改善スピードが大きく向上します。
5|まとめ:“忙しい”の正体はデータで見える
最後に、このテーマの本質を一言でまとめます。
忙しさは感覚ではなく、数字でつかむと改善が始まる。
データドリブンに業務を見直すことで、
・時間のムダが見える
・改善ポイントが明確になる
・成果につながる業務に集中できる
という状態が生まれます。
次回予告:顧客理解のためのデータドリブン
次回は、
「声の大きいお客様だけを見ない:本当に大事な顧客は誰か?」
を実例とともに紹介します。





