第4回|“報告が弱い部下”は存在しない:上司の問いで変わるデータ思考
公開日
2026年1月19日
更新日
2026年1月27日
この記事の主な内容
はじめに:なぜ「部下の報告は弱いまま」なのか?
どの企業でも、管理職のよくある悩みがあります。
・部下の報告が数字の羅列で終わる
・結局、何を言いたいのか分からない
・問題点がどこなのか伝わらない
・改善策が出てこない
しかし、これは“部下の能力不足”が原因ではありません。
結論から言うと——
部下の報告レベルは「上司の質問レベル」で決まる。
今回は、データドリブンを「部下育成」にどう使うかを、実例とともに解説します。
1|実例:数字の羅列で終わる報告は、なぜ起きる?
● 実例1:とりあえず数字を読み上げる部下
典型的な会話がこちら。
部下:
今月の売上は120万円で、先月比で105%です。商談数は20件で……
上司:
で、結局どうだったの?
部下:
……(何を言えばいいんだろう)
この時、部下は数字を「報告」しているようで、実は次の3つが抜けています。
・何が問題か
・何が良かったか
・次に何をすべきか
つまり、数字を“読んでいるだけ”なのです。
これは、「報告とは何を伝えるものか」が曖昧なまま仕事をしているのが原因です。
2|上司の“3つの問い”で部下の報告は激変する
部下の報告を強くするうえで、上司が最初に変えるべきは「問い方」です。
次の3つの質問を習慣化するだけで、報告は劇的に変わります。
● 質問1:「で、何が言いたい?」
数字や事象を並べた後、必ずこう問い返します。
これにより部下は、
・何が問題か
・何を伝えたいのか
を自分で整理するようになります。
● 質問2:「その数字が変わると、何が変わる?」
数字を“読むだけ”から、“意味を考える”報告に変わります。
例:
・商談数が増えれば何が変わる?
・顧客単価が上がればどんな影響がある?
・解約率が悪化すると何が起こる?
数字の「重さ」を考えられる人材になります。
● 質問3:「他の解釈はあり得る?」
たったこの問いで、部下の“視野”が広がります。
例:
売上が落ちた=営業の努力不足、ではありません。
リード質の低下、競合増加、季節要因など他の理由がある可能性が高いのです。
この問いは、思い込みを防ぐための“データ思考の基本”です。
3|実例:3つの問いで部下の成長が加速したケース
ある営業チームで、「報告が弱い」と感じていたメンバーがいました。
その部下はいつも、
・商談数
・成約率
・売上
などをただ読み上げるだけでした。
そこで上司は、毎回次の質問を繰り返しました。
1. で、何が言いたい?
2. その数字が変わると、何が変わる?
3. 他の解釈は?
その結果、2ヶ月後にはこう変わりました。
部下:
今月は成約率が先月比−4ptです。ただし商談数は+5件。
成約率低下は、新規リード質の悪化が原因と考えています。
来月は新規リードのスクリーニング基準を見直したいです。
この変化は、データ分析スキルを上げたのではありません。
“問い”が変わっただけで、思考が変わったのです。
4|良い報告・悪い報告は「構造」で決まる
報告には、実は“良い構造”が存在します。
● 良い報告の型
・結論(何が起きたか)
・要因(なぜ起きたか)
・次の一手(どうするか)
例:
今月は売上が前月比−5%でした(結論)。
理由は新規リード質の低下です(要因)。
来月は広告配信のターゲティングを見直します(次の一手)。
● 悪い報告の型
・数字だけ並べる
・事実だけ読む
・思考や仮説が入っていない
これは、上司が「数字を出せ」と言うだけで、問いを投げかけないと起きがちです。
5|部下育成にデータドリブンを取り入れるメリット
データドリブンを部下育成に活用すると、次のような効果があります。
● メリット1:報告が“伝わる”ようになる
背景・原因・改善がセットになるため、管理職の判断が早くなります。
● メリット2:思考の癖が見える
どこに視点がないのか、どこで誤解しているのかが明確になります。
● メリット3:部下の意思決定力が育つ
数字の意味を考え、仮説を持つ力が自然と身につきます。
まとめ:部下の報告は“上司の問い”で変わる
最後に、本質を一言でまとめます。
報告が弱い部下は存在しない。弱い問いしか投げていないだけだ。
データドリブンは、部下育成を「感覚」から「再現性のある育成」に変える武器です。
次回予告:業務改善が進むデータドリブン
次回は、
「“なんか忙しい”を数値化する:ムダを見える化するデータの使い方」
を実例とともに紹介します。





