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データ分析やAI開発の入り口として、いま最も選ばれているプログラミング言語がPython(パイソン)です。ところがこの名前の由来を尋ねると、多くの方が「ニシキヘビでしょう?」と答えます。公式ロゴにヘビが描かれ、入門書の表紙にもヘビがいるのですから、無理もありません。
しかしPythonという言語名の由来は、ヘビとは何の関係もありません。本当の元ネタは、イギリスのコメディ番組です。3分で読める分量で、よくある誤解と正しい語源、そしてそこから見えてくるPythonという言語の性格まで整理します。
この記事の主な内容
この記事のポイント
・Pythonの名前は英コメディ『空飛ぶモンティ・パイソン』に由来する
・ニシキヘビの意味は後付け。ロゴのヘビは命名の由来ではない
・公式ドキュメントの spam / eggs / ham も同番組のスケッチが元ネタ
・「気取らない・読みやすい」という設計思想は命名の時点から一貫している
結論|由来はイギリスのコメディ『空飛ぶモンティ・パイソン』
Pythonの名前は、イギリスのコメディグループモンティ・パイソン、正確にはそのテレビ番組『空飛ぶモンティ・パイソン(Monty Python’s Flying Circus)』に由来します。
開発者はオランダ出身のプログラマー、グイド・ヴァン・ロッサム氏。1989年12月、クリスマス休暇の暇つぶしとして新しい言語の開発に着手した彼は、ちょうどその頃このコメディ番組の脚本本を読んでいました。「短くて、独自性があって、少しだけ謎めいた名前」を求めていた彼が、手元にあった本のタイトルからそのまま拝借した——というのが命名の経緯です。Python公式ドキュメントのFAQにも、ほぼこのとおりの説明が記載されています。
よくある誤解|Python=ニシキヘビ?
英和辞典で python を引くと、確かに「ニシキヘビ」と出てきます。検索してもまずこの語義に行き当たるため、そこから「プログラミング言語のPythonもヘビ由来だろう」と推測してしまうのは自然な流れです。
加えて、Pythonの公式ロゴは青と黄色の2匹のヘビをかたどったデザインですし、有名な技術書出版社の入門書の表紙にもヘビが描かれています。視覚的な情報がすべてヘビを指しているのですから、誤解が広まるのも当然でしょう。
しかし順序は逆です。名前が先にあり、ヘビのイメージは後から視覚的なシンボルとして採用された——これが正しい理解です。現在の公式ロゴがデザインされたのは2000年代半ばで、言語の誕生から15年以上あとのことでした。
| よくある思い込み | 実際のところ |
|---|---|
| 名前はニシキヘビに由来する | コメディ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』に由来する |
| ロゴがヘビだから語源もヘビ | ロゴは後年のデザイン。語源とは無関係 |
| spam や eggs はプログラミングの慣習 | Python特有。モンティ・パイソンのスケッチが元ネタ |
| 名前は真面目に検討して決められた | 「短く、独自で、少し謎めいた名前」を気軽に選んだと本人が説明 |
| 蛇のように扱いにくい言語 | 読みやすさを最優先する設計思想を持つ言語 |
コードの中に残るモンティ・パイソンの痕跡
「たまたま名前を借りただけでは?」と思われるかもしれませんが、モンティ・パイソンの影響はPythonの文化そのものに染み込んでいます。もっとも有名なのが変数名です。
プログラミングの解説では、中身に意味を持たせない仮の名前がしばしば必要になります。多くの言語では foo や bar が使われますが、Pythonの公式ドキュメントでは spam、eggs、ham が使われます。これは、あらゆるメニューにスパム(缶詰のランチョンミート)が入っているレストランを描いた、モンティ・パイソンの有名なスケッチにちなんだものです。
Pythonの入門書やドキュメントを読んでいて、なぜか食べ物の名前ばかり出てくると感じたことがある方は、その正体がこれです。ちなみに、迷惑メールを指す「スパムメール」という言葉も、同じスケッチが語源とされています。
「遊び心」は評価が分かれる
この命名を、親しみやすさの表れとして好意的に受け止める人は多くいます。技術は堅苦しいものだという先入観をやわらげ、学習の入り口を広げてきた面は確かにあるでしょう。
一方で、業務システムの言語選定の場面などでは「ふざけた名前だ」と受け取られることもありました。グイド氏自身が長らく名乗っていたBDFL(Benevolent Dictator For Life/慈悲深き終身独裁者)という肩書きも同種のジョークで、好みが分かれるところです。
ただ、この気取らなさこそがPythonの本質だという見方もできます。import this と入力すると表示される設計哲学「The Zen of Python」には、「読みやすさが重要である(Readability counts)」「単純であることは複雑であることに優る」といった行が並びます。専門家だけの道具にしない、というこの姿勢は、命名の時点からすでに一貫しているのです。
名前の由来を知ると、学習の入り口が変わる
Pythonは現在、データ分析、機械学習、業務自動化、Webアプリケーション開発と、幅広い領域で使われています。統計や数学を学び直したい社会人の方にとっても、手を動かしながら理解を深められる相性のよい道具です。
そして、この言語が最初から「専門家以外にも開かれていること」を大事にしてきた事実は、これから学ぶ方にとって心強い材料になるはずです。名前の由来は雑学にすぎませんが、その雑学は言語の性格を的確に言い当てています。
よくある質問(FAQ)
Q1. Pythonの名前の由来はニシキヘビですか?
いいえ、違います。開発者のグイド・ヴァン・ロッサム氏が、イギリスのコメディ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』のファンだったことに由来します。公式ドキュメントのFAQでも、彼が同番組の脚本本を読んでいた時期に命名したこと、そして「短くて、他と重ならず、少し謎めいた名前」を求めていたことが説明されています。爬虫類とは無関係です。
Q2. ではなぜPythonのロゴは2匹のヘビなのですか?
名前が先で、ヘビは後からついてきたイメージです。Python という英単語自体にニシキヘビの意味があるため、視覚的なシンボルとして採用しやすかったのでしょう。現在の公式ロゴである青と黄の2匹のヘビは2000年代半ばにデザインされたもので、命名の由来を表したものではありません。O’Reilly社の入門書の表紙にヘビが描かれているのも同じ理由です。
Q3. Pythonのコードによく出てくる spam や eggs は何ですか?
これもモンティ・パイソン由来です。プログラミングの例文で意味のない変数名が必要なとき、多くの言語では foo や bar を使いますが、Pythonの公式ドキュメントでは spam、eggs、ham が使われます。これは同番組の、あらゆる料理にスパムが入っているレストランを描いたスケッチにちなんだ命名です。
Q4. 名前の由来を知ることに、学習上の意味はありますか?
あります。Pythonの命名には「気取らず、親しみやすく」という開発者の価値観が表れており、それは import this で表示される設計思想(The Zen of Python)の「読みやすさが重要(Readability counts)」という思想と地続きです。言語の性格を知ってから文法に入ると、なぜこの書き方が好まれるのかが腹落ちしやすくなります。
まとめ|ニシキヘビではなく、コメディが元ネタ
Pythonという言語名は、イギリスのコメディ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』に由来します。ニシキヘビの意味は後から結びついたイメージで、ロゴのヘビも語源を表したものではありません。公式ドキュメントに登場する spam や eggs も、同じ番組のスケッチが元ネタです。
名前のストーリーを知ると、学習は少し楽しくなります。気取らず、読みやすく、誰にでも開かれた言語であること——その姿勢は、生まれた瞬間の名づけからすでに始まっていました。ぜひ周りの方にも話してみてください。
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