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【開催報告】「数学の問題を、贈りたい。(問題作成技法入門)」~ロマンティック数学ゼミ~

公開日

2018年10月20日

更新日

2018年10月20日

大人のための数学教室和(なごみ)講師の山口雅司先生による全4回のロマンティック数学ゼミ「数学の問題を、贈りたい。(問題作成技法入門)」の全日程(全4回)が完了しました。本記事ではどのようなゼミだったのかを報告したいと思います!
 

そもそもロマンティック数学ゼミとは

弊社主催のロマンティック数学ナイトは「数学がとにかく好き」、「数学に興味がある」、「数学で繋がりたい」人達が集う数学イベントです。ロマンティック数学ナイトに参加することで数学のロマンを感じることができますが、いざ自分で数学を勉強しようとすると、そもそもどの本で勉強したらよいかわからなかったり、わからないときに聞ける人が身近にいなくて挫折してしまったりするものです。

ロマンティック数学ゼミはそういった方のために設計した数学ゼミです。講師にロマンティスト(ロマンティック数学ゼミの登壇者)を迎え、ロマンティストから直接数学を学び、継続的に交流することで、ロマンティストが見ている数学の風景を一緒に見ることができるということをコンセプトにしています。少人数制のセミナーですので、他のゼミ生との交流もでき、一人ではなくみんなで数学を学んでいけるということも魅力です。

ロマンティック数学ゼミの詳細はこちらをご覧ください。

現在までに5人のロマンティストによる講座を開講してきましたが、その第一弾が山口先生の「数学の問題を、贈りたい。(問題作成技法入門)」でした。

講師は大人のための数学教室和(なごみ)講師の山口雅司先生。数学科の大学生、大学院生が学ぶ高度な純粋数学を担当しております。なんと今は無き幻の数学検定2段を保有している先生です。
過去に3回ロマンティック数学ナイトに登壇しており、愛情を持って数学を語り、聞いている人の心が動かされるような情感のある数学プレゼンが大好評でした!
 

「数学の問題を、贈りたい。(問題作成技法入門)」ゼミ概要

普通数学のゼミと聞くと、一方通行の講義であったり、問題を解いたり、数学書を読んだりすることを想像しますが、本ゼミは「数学の問題を作る」というこれまでになかったゼミとなっております。しかも単に数学の技術を紹介して、それに関連した問題を作るというものではありません。

第1回目は「何のために問題を作るのか?」という非常に哲学的な問いから始まりました。「何か問いを作り出して誰かに問う」ということは、非常に汎用性が高い技術であり、本ゼミで身に着く技術は、情報系、社会学、心理学といった全ての分野に適用可能とのことです。本ゼミは数学ゼミでありながら、全日程を通してどこか数学よりももっと広範囲のゼミを行っている気分でした。それは数学が持つ抽象性、汎用性から来るものなのかもしれませんし、誰かに自分の想い(問題)を届けたいという非常にプリミティブな欲求に応えるゼミだからなのかもしれません。

数学的な要素としては、数学の土台となるような「論理(一般化と特殊化、逆問題、必要・十分条件)」、「集合(図表の活用、濃度、逆理)」、「圏論」などを扱いました。それぞれのトピックに対して代表的な問題をいくつか提示し、出題者の意図を探り、みんなで鑑賞しました。

 

演習がメインのロマ数ゼミ

ロマンティック数学ゼミは実際に数学を体感するために手を動かす演習、ワークショップの時間を大切にします。本ゼミでは講義と演習が半々の時間配分で行われました。演習といっても数学の問題を解くものではなく、
あなたの主観で、良い問題とはどういうものか、考えてみて下さい。
といった哲学的な問いであったり、
全体集合の設定を変えることで大きく議論が変化する例を挙げてみて下さい。
といった問いです。もちろん
有限集合についての問題を、考えてみてください。
といった実際に問題を作る演習もありました。いずれも絶対的な答えがなく、自分自身との対話を大事にする演習でした。

特徴的なこととしては、演習後に演習のアウトプットを共有したり、回収したりしないことです。
「提出をお願いすると提出をするための答えと作らないといけないが、それは目的ではない。私のためではなく、皆さんのための演習であるから。もちろん教えて欲しいと思うけど、それは教えてもよいと皆さんが主体的に思えた時と、思えた範囲でよい。」
と山口先生は語っておられました。


 

山口先生からのプレゼント

山口先生は非常に愛のある先生で、常にゼミ生のことを気遣っておりました。休憩時間も秒単位で管理するほどです。そしてなんと今回ゼミに参加していただいたゼミ生のために、本ゼミオリジナルの「作問技法入門」という冊子をプレゼントしてくださいました。愛あるプレゼントにゼミ生も喜んでいました。

<文/松中>

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