ポアソン分布の期待値~最近印象に残った授業~
公開日
2025年3月11日
更新日
2025年3月11日

ポアソン分布の期待値~最近印象に残った授業~
こんにちは!今日は、最近印象に残った授業 についてお話ししたいと思います。テーマは ポアソン分布の期待値 です。
ポアソン分布といえば、確率論や統計学でよく登場する分布ですが、期待値の計算方法には 定義から求める方法と、モーメント母関数を使う方法 の2つがあることをご存じでしょうか?
今回は、授業でお客様と一緒に考えた モーメント母関数を用いた期待値の計算 を中心に紹介していきます!
ポアソン分布とは?
ポアソン分布は、「ある一定の時間内に起こる ランダムな事象の回数 をモデル化する分布」です。例えば、1時間に平均3回いたずら電話がかかってくる電話回線 があったとしましょう。
このとき、「ある1時間にいたずら電話が何回かかってくるか」という回数がポアソン分布に従います。確率関数は次のように表されます。
P(X = k) = \frac{e^{-\lambda} \lambda^k}{k!}
ここで、 \lambda は 1時間あたりの平均回数 です。
例えば、 \lambda = 3 のとき、1時間に0回、1回、2回、3回いたずら電話がかかってくる確率 はこの式を使えば簡単に計算できます。実際に確率を求めると、2回や3回あたりの確率が高くなることが分かります。
ポアソン分布の期待値を定義から求める方法
期待値とは、確率変数が取る値の平均 を表すものです。数式で書くと、
E[X] = \sum_{k=0}^{\infty} k P(X = k)
という形になります。これは、「各値 k に、その値が出る確率を掛けたものをすべて足す」という計算です。
サイコロの期待値を求めるときと同じ要領ですね。
この定義を用いてポアソン分布の期待値を計算すると、最終的に 期待値 E[X] = \lambda になる ことが分かります。つまり、「1時間あたり平均3回のいたずら電話なら、期待値も3になる」という、直感的に納得しやすい結果になります。
さらに、分散 V[X] も同じく \lambda になる ことが計算によって示されます。これはポアソン分布の大きな特徴の一つです!
モーメント母関数を使って期待値を求める
今回、お客様と一緒に使ったのは モーメント母関数 という方法です。モーメント母関数とは、
M_X(t) = E[e^{tX}]
のように、確率変数 X を指数関数の形で期待値を取る関数です。この関数を用いると、期待値や分散を微分を使って簡単に求められる という便利な性質があります。
実際にポアソン分布のモーメント母関数を求めると、
M_X(t) = e^{\lambda (e^t – 1)}
となります。ここで、微分をとって t = 0 を代入 すると、
M{\prime}_X(0) = λ
となり、期待値が λ であることが証明できました!
同様に、二階微分をとる と分散も求めることができ、これも λ になることが分かります。
この方法は、直接定義から求めるより計算が簡単で、他の確率分布の期待値や分散を求めるときにも役立ちます!
まとめ
今回の授業では、ポアソン分布の期待値 を 2通りの方法 で求めてみました。
• 定義から計算する方法 :確率関数を使って直接求める
• モーメント母関数を使う方法 :微分を活用して簡単に求める
どちらの方法も数学的に大切な考え方ですが、モーメント母関数を使うことで、よりスマートに計算できることが分かりました。
統計学では、確率分布の期待値や分散を求める場面が多々あります。今回学んだモーメント母関数の考え方は、他の分布でも応用できるので、ぜひ覚えておきたいですね!
次回も、数学の面白い話題をお届けします。お楽しみに!