第2回|根性目標を卒業する:データから作る“背伸び目標”の作り方
公開日
2026年1月17日
更新日
2026年1月27日
この記事の主な内容
はじめに:多くの企業が「目標設計」でつまずく理由
日本企業では、目標がこう決まるケースがいまだに多く存在します。
・社長の勘と勢い
・去年の数字に“気持ち”を乗せるだけ
・「とりあえず前年比120%」という根性設定
しかしこれらは、ほぼすべて“データ不在の目標設計”です。
結果として、
・現場が疲弊する
・達成したかどうかの評価がブレる
・施策が短期的で場当たり的になる
などの問題が生まれます。
結論から言うと——
目標は「願望」ではなく、「過去のデータ+達成可能性」で設計するべきもの。
今回は、初心者でも使える「目標をデータで作る思考法」を“実例つき”で紹介します。
1|実例:根性目標から「背伸び目標」へ
まずは、よくあるケースから見てみましょう。
● 実例1:売上150%目標は可能か?
よくある会議での一幕:
上司:
来期は売上150%!気合い入れて伸ばそう!
現場:
……(どうやって?そもそも可能?)
しかし、過去3年間の売上成長率は以下だったとします。
・2021年:108%
・2022年:112%
・2023年:110%
この会社が突然150%を目指しても、根拠がありません。
ではどうするか?
● ステップ1:売上を分解する
売上は単なる数字ではなく、以下の式で決まります。
売上 = 顧客数 × 購入回数 × 単価
これを“どこをどれだけ伸ばせば良いか”に分解すると、初めて現実味が出ます。
● ステップ2:どこが伸ばしやすいかをデータで確認
例:
・顧客数:前年比102% → 伸び幅が小さい
・購入回数:前年比120% → 改善余地あり
・単価:横ばい → 伸ばしにくい
この場合、150%を狙うなら「購入回数」にフォーカスした施策が最も現実的です。
結果、
“どこを”“どれだけ”伸ばせば良いか明確になり、根性ではなく戦略としての目標になる。
2|実例:コールセンターの件数目標の落とし穴
別の例として、コールセンターの目標設定を見てみましょう。
● 実例2:件数目標だけでは現場が疲弊する
上司:
1日40件対応を目指そう!
現場:
分かりました……(でも品質下がりそう)
実際にデータを見てみると、
・1件あたりの対応時間:平均3分
・40件対応に必要な時間:120分
・実働時間:6時間
目標としては可能に見えますが——
クレーム率を確認すると、
・対応件数が増えるほどクレーム率が上昇
となっているケースがよくあります。
● 解決策:複数指標で目標を設計する
例えば、以下のように複数の視点でバランスを取ります。
・対応件数:35件以上
・一次解決率:85%以上
・CSスコア:4.0以上
件数だけでは見えなかった品質面が補完されます。
データドリブンとは、「1つの数字だけ」で評価しないことでもあります。
3|目標をデータで作る“3ステップ”テンプレ
ビジネス初心者でも使えるテンプレートを紹介します。
● ステップ1:過去データを確認する
・過去1〜3年の推移
・季節要因・キャンペーンなどの影響
・無理筋ではない範囲かどうか
● ステップ2:内訳に分解してみる
売上、問い合わせ数、顧客満足など、どんな指標も以下に置き換えられます。
・数 × 数
・数 × 率
・率 × 数
例:
・売上 = 顧客数 × 単価
・商談成功数 = 商談数 × 成約率
● ステップ3:伸ばしやすいポイントを探す
以下の問いが有効です。
・どの数字が改善しやすいか?
・どの数字が最も成果を押し上げるか?
・コストをかけずに改善できる部分は?
この「伸ばしどころ」を数字で把握できると、目標が“背伸び”でも現実的になります。
4|データドリブンな目標は現場のやる気まで変える
データを使って目標を作る最大のメリットは、現場の納得感が高まることです。
● 「なぜこの目標なのか」を説明できる
感覚ではなく、数字に基づいた理由が話せるため、現場が受け入れやすくなります。
● 達成のための道筋が見える
適切な分解ができていると、
・何を改善すべきか
・どこにリソースを集中するか
が明確になります。
● やみくもな根性論が消える
数字を根拠に会話するため、「もっと頑張れ!」のような抽象的な指示が減ります。
5|まとめ:目標は“願望”ではなく“戦略”
最後にまとめると、データを使った目標設計とは、
願望で作るのではなく、過去と現在のデータから“実現可能性のある未来”を描くこと。
これができると、現場が動き、目標が達成に近づきます。
次回予告:会議を変えるデータドリブン
次回は、
「『今月も厳しいですね…』で終わる会議を終わらせる方法」
を実例とともに紹介します。





