【ロマ数トレラン】オイラーの世界展望 〜 数論、微積分、複素解析をオイラーに学ぶ 〜
公開日
2024年9月8日
更新日
2024年9月24日
18世紀のはじめにオイラーが現れ、同じ世紀の終わりがけにガウスが登場し、この二人の数学者により今日の西欧近代の数学の骨格が形作られました。19世紀のはじめ、リブリという人がいて、ラプラスを訪ねて数学を学ぶにはどうしたらよいかと問うたところ、ラプラスは、
「オイラーを読め,オイラーを読め,オイラーはわれらすべての師だ.
(Lisez Euler, lisez Euler, c’est notre maître à tous.)
と応じました。広く知られているエピソードですが、このラプラスの言葉をそのまま受け止めて、オイラーの著作と論文そのものに沿って数論と微積分と複素解析の基礎を学びたいと思います。
西欧近代の数学のもっとも際立った特色は「虚の世界(複素数の世界)」に向おうとする傾向です。デカルトもライプニッツもベルヌーイ兄弟も、それにオイラーもまた数学の真実は虚の世界に宿っているという確信に支えられて歩みを運んでいます。普通、微積分というと、微分や積分の対象は実変数の関数ですが、複素変数の関数の微積分、言い換えると複素解析の視点に立つことによってはじめて真の姿が明らかになるという現象がたくさんあります。そこでつねに複素解析の視点に立って微積分を語りたいと思います。
数論の領域が虚の世界に移っていく現象はすでにオイラーにその萌芽が現れていますが、これを全面的に引き受けたのはガウスですので、ガウスの数論についても適宜参照したいです。
受講対象
数学に関心のあるすべての人びと。
必要な数学知識
特別の前提となる知識はありません。ひとつひとつの話題について、そのつど第一歩から解説します。
セミナー内容
取り上げる話題を列記します。いろいろなタイプの演習問題を出したいです。
●数論
・直角三角形の基本定理
・フェルマの小定理
・オイラーの規準
・オイラー関数
・原始根の発見
・平方剰余相互法則
・ペルの方程式(不定方程式)の解法
・一般の2次不定方程式の解法
・素数の判定法
・4次剰余の理論
・ガウス整数域における原始根
・ガウス整数域におけるフェルマの小定理
・直角三角形の基本定理とガウス整数
●微積分の基礎
・座標系の導入
・関数概念(3種類)の提案
・原型のフーリエ級数論
・変数分離型の微分方程式
・変分法のアイデアの提出
・三角関数の発見
・レムニスケート曲線、レムニスケート積分、レムニスケート関数
・楕円関数の加法定理の発見
・さまざまな無限級数の数値決定(例:バーゼル問題)
●複素解析
・自然対数の底の導入
・オイラーの公式
・複素対数の無限多価性の発見
・実変数の逆三角関数と複素対数関数の明示公式
・多複素変数関数論展望
セミナーの様子
セミナー基本構成
※内容によっては授業内に演習時間を含める場合がございます
∞セミナーの目的∞
複素数の働きに目を留めて、西欧近代の数学の全体像についてまとまりのあるイメージをつかむことが目標です。
∞セミナーの進め方∞
毎回ノートを準備して,それに沿って講義を進めるとともに,なるべく多くの問題を解いていきます.途中で自由な話し合いができるようにしたいと望んでいます.具体的な計算が重要ですので,課題を出して解いてもらう時間を作ります.
∞テキスト∞
高木貞治『定本 解析概論』(岩波書店)
『オイラー無限解析序説』(共立出版)
高瀬正仁『複素解析的視点からの微積分問題演習』(現代数学社)
∞本編受講希望者の方向けの注意事項∞
・通信トラブル等が発生した時に、講師、受講生で円滑に連絡を取り合えるようLINEグループを作成します。LINEグループへの参加は必須とさせていただきますので、予めご了承ください。
・オンラインセミナー受講の際に必要となるパソコン、タブレットまたはスマホ等の通信機器、およびWiFi等のインターネット接続サービスは受講生ご自身でご準備いただきます。
・Apple Pencilなどのスタイラスペンやペンタブなど、画面にペンによる書き込み、描画を行える環境をご準備いただくことを推奨いたします。
・欠席者には録画動画だけでなく、セミナーで使用する配布資料(pdfファイルやurl等)も出席者同様配布いたします。
※開催回ごとに多少構成が変わることがあります。
料金
定員
特定商取引法に基づく表示
セミナー監修
高瀬正仁 (たかせ まさひと)
1951年、群馬県の山村、勢多郡東村(現在、みどり市)に生れる。東京大学卒業後、九州大学大学院に進む。大学院は理学研究科数学専攻。前期修士課程修了。後期博士課程中退。九州大学理学部数学科助手、講師、准教授を経て、基幹教育院教授。2016年、定年退職。
専攻は多変数関数論と近代数学史。オイラー、ガウス、アーベル、リーマンなど、数学の古典の翻訳を続けるとともに、岡潔と高木貞治の評伝を執筆した。
担当講師
※日程により一部講師が変わる事があります。
会場とスケジュール
本編(有料)
オンライン教室第01回 2024年10月06日(日) 14:00~16:30
第02回 2024年10月20日(日) 14:00~16:30
第03回 2024年11月03日(日) 14:00~16:30
第04回 2024年11月24日(日) 14:00~16:30
第05回 2024年12月01日(日) 14:00~16:30
第06回 2024年12月15日(日) 14:00~16:30
第07回 2025年01月05日(日) 14:00~16:30
第08回 2025年01月19日(日) 14:00~16:30
第09回 2025年02月02日(日) 14:00~16:30
第10回 2025年02月16日(日) 14:00~16:30
※最小履行人数は4名となります。最小履行人数に満たない場合、非開催となり、料金は返金させていただきます。開催有無は第一回ゼミの7日前に確定となります。
※ガイダンス回翌日18:00時点での申込数が定員を超えている場合は、抽選にて参加者を決定させていただきます。予めご了承ください。
※本編お申し込みの方にはご入金方法をメールでご連絡いたします。