【数学偉人伝】三平方の定理で見つかった矛盾!?ピタゴラスの生涯
公開日
2025年3月10日
更新日
2025年4月13日

【数学偉人伝】三平方の定理で見つかった矛盾!?ピタゴラスの生涯
皆さんこんにちは。今回は「数学偉人伝」として、三平方の定理で有名なピタゴラスという人物の生涯についてご紹介したいと思います。
中学校の数学で「ピタゴラスの定理」や「三平方の定理」という名前を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実はその裏には、ただの公式だけではない、とても面白くて少しホラーなエピソードがあったんです!
今回はまずピタゴラスがどんな人物だったのかを見ていき、彼の発見や信じていた思想、そして最終的にその思想に潜んでいた矛盾について掘り下げていきます。
ピタゴラスはどんな人物?
ピタゴラスは紀元前500年ごろに活躍した数学者で、エーゲ海に浮かぶサモス島で生まれました。「サモスの賢人」とも呼ばれ、その名の通り非常に聡明な人物でした。
彼は「ピタゴラス教団」という組織を作り、多くの優秀な弟子たちとともに数学の研究に没頭しました。ただしこの教団はとても閉鎖的で、外部に情報を漏らすことを固く禁じていたため、現在でも多くのことが謎に包まれています。
そんな教団の中心にあったのが「万物は数なり」という思想です。つまり、あらゆる自然現象や法則はすべて数によって説明できるという考え方でした。中でもピタゴラスは「すべての数は整数の比で表せる」と強く信じていたのです。
ピタゴラスの発見
教団を率いていたピタゴラスが発見した最も有名な定理が、まさに「ピタゴラスの定理」です。これは直角三角形の辺の長さに関する定理で、次のような式で表されます。
斜辺をc、他の2辺をaとbとしたとき、「c² = a² + b²」が成り立つ、というものです。この定理は、三角形の構造を理解するうえで非常に重要な発見となりました。
さらにピタゴラスの功績はそれだけにとどまりません。なんと彼は数学を用いて音楽の性質まで解明してしまったのです。
ある日、ピタゴラスが鍛冶屋の前を通りかかると、2人の職人が鉄を叩く音に調和があることに気づきました。調べてみると、ハンマーの重さが一定の整数比のとき、美しい音が生まれていたのです。
この発見をもとに、音階の性質も整数の比で説明できると考えたピタゴラスは、音楽と数学の関係をさらに深く探究していきました。音楽まで数で説明できるというのは、教団の思想ともピッタリ一致していたんですね。
信じていた思想と現れた矛盾
このように「すべての数は整数の比で表せる」と信じていたピタゴラス教団ですが、現代の数学では「無理数」と呼ばれる、分数で表せない数がたくさんあることが知られています。たとえば円周率のπや、√2などがその代表です。
ピタゴラスたちは、こうした数の存在そのものを否定していたわけですから、もしそれが存在するとなれば、彼らの思想そのものに矛盾が生じてしまいます。
そしてこの矛盾を証明してしまったのは、なんと教団の内部にいたある弟子でした。再びピタゴラスの定理を使ってみましょう。直角を挟む2辺がそれぞれ1の直角三角形を考えると、斜辺cの長さは「c² = 1² + 1² = 2」、つまり「c = √2」となります。
ところが、この√2という数は、どうやっても整数の比では表せないことが証明されてしまったのです。つまり、無理数の存在を自らの理論で明らかにしてしまったわけですね。
真理に近づいた代償
教団内部の人間がこの事実を発見したことで、「すべての数は整数の比で表せる」という教団の中核思想は崩れ去ることになります。伝えられているところによると、ピタゴラスはこの話題を以降禁じたとされ、さらには矛盾を明らかにした弟子を追放、あるいは処罰したという話まで残されています。
もちろんそれが事実かどうかは定かではありませんが、自らの信じていた理論によって、自らの思想が覆されるというのは何とも皮肉な話です。
ピタゴラスが天才であったことは間違いありませんが、その人生の中にはこうしたドラマチックな一面もありました。数学者には少し風変わりな人が多い印象ですが、ピタゴラスもその一人だったのかもしれませんね。
三平方の定理については、YouTubeなどでもたくさん取り上げられていますので、興味のある方はぜひそちらもご覧になってみてください!
ということで、今回はピタゴラスという数学者についてご紹介しました。次回の【数学偉人伝】も、どうぞお楽しみに!