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大谷翔平はなぜ神なのか?データで読み解く、歴史的偉業の”本当の”スゴさ

公開日

2025年8月31日

更新日

2025年8月22日



はじめに-神話から客観的真実へ

「野球の神様」「100年に一人の逸材」「生ける伝説」。ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手を語る時、私たちはしばしば、このような神話的な表現を用います。マウンドに立てば160km/h超の剛速球を投げ込み、打席に立てば軽々とホームランを放つその姿は、確かに常識を超えています。しかし、その「スゴさ」の本質は、一体どこにあるのでしょうか。

多くのファンがその活躍に熱狂する一方で、その偉業が野球の歴史においてどれほど異次元なものなのかを客観的に理解するのは、必ずしも容易ではありません。本記事では、大谷選手を巡る神話的な言葉の数々を一度脇に置き、客観的なデータの光を当てることで、その歴史的偉業の”本当の”スゴさを解き明かしていきます。

そのための強力な武器が、「セイバーメトリクス」と呼ばれる野球のデータ分析手法です [1, 2]。これは、打率や打点といった伝統的な指標だけでは見えてこない、選手の真の価値、すなわち「チームをどれだけ勝利に導いたか」を数値化する試みです。本稿では、野球に詳しくない方にもご理解いただけるよう、セイバーメトリクスの基本的な指標である「OPS」と、究極の貢献度指標「WAR」を解説します。

そして、これらの指標を用いて、打者として、また投手としての大谷選手の価値を個別に分析し、バリー・ボンズやクレイトン・カーショウといった歴代のスーパースターと比較したいと思います。さらに、唯一の比較対象であるベーブ・ルースとの100年越しの邂逅を果たし、最後に「もし大谷選手が二人いたら?」という思考実験を通じて、その唯一無二の価値をシミュレーションしてみました。

これは、感覚的な「スゴい」を、誰もが納得できる客観的な「真実」へと体感してもらえれば幸いです。データが描き出す、現代の神の姿を、どうぞご覧ください。

野球の見方を変える「セイバーメトリクス」入門

大谷翔平選手の真価を理解するためには、まず現代野球における「共通言語」とも言えるセイバーメトリクスの基本を知る必要があります。ここでは、分析に用いる2つの重要な指標、「OPS」と「WAR」について、分かりやすく解説します。

セイバーメトリクスとは?

セイバーメトリクスとは、野球のプレー結果を統計学的に分析し、選手の評価や戦略立案に役立てる手法のことです [2]。一言で言えば、「野球版データサイエンス」であり、客観的なデータとロジックに基づいて野球を探求する試みです [3]。

この言葉は、1970年代にアメリカの野球研究家ビル・ジェームズによって考案されました [2]。映画『マネーボール』で描かれたように、セイバーメトリクスは「打率が高い打者が良い打者」「犠牲バントは有効な戦術」といった従来の常識や経験則に疑問を投げかけ、データに基づいた新たな価値基準を提示しました [1, 4]。

セイバーメトリクスの根底にあるのは、「野球は相手より多く得点を取れば勝つ」という極めてシンプルな原則です [3]。そのため、選手の評価は「いかにチームの得点を増やし、失点を減らすことに貢献したか」という観点で行われます。打率や打点、勝利数といった従来の指標は、運や味方の能力、試合状況といった外的要因に左右されやすいため、セイバーメトリクスではより選手の純粋な能力を測れる指標が重視されるのです [2]。

打者の真価を暴く「OPS」

セイバーメトリクスが打者を評価する際に最も重視する指標の一つが「OPS(オーピーエス)」です [5, 6]。これは、打者がどれだけチームの得点に貢献したかを測るための指標で、計算式は非常にシンプルです。

$$OPS = \text{出塁率}(OBP)+ \text{長打率}(SLG)$$

OPSは、打者に求められる2つの最も重要な能力、「アウトにならない能力」と「長打を打つ能力」を組み合わせたものです [7, 8]。

  • 出塁率 (On-base Percentage, OBP): 打者がヒットや四球などで、アウトにならずに塁に出る確率を示します。野球は27個のアウトを取られたら終わるスポーツであるため、「いかにアウトを避けるか」は得点機会を創出する上で極めて重要です [2]。
  • 長打率 (Slugging Percentage, SLG): 1打数あたりに平均していくつの塁打を獲得したかを示します。単打は1、二塁打は2、三塁打は3、本塁打は4として計算され、打者のパワーを測る指標となります [5]。

打率だけでは評価しきれない四球による出塁や、長打の価値を適切に評価できるため、OPSは得点との相関が非常に高い指標として広く用いられています [8]。OPSの評価基準は一般的に以下のようになっています [5]。

  • .9000以上: 素晴らしい(MVP級)
  • .8334~.8999: 非常に良い
  • .7667~.8333: 良い
  • .7000~.7666:
  • .6999以下: 平均以下

この基準を知ることで、選手の打撃力がどのレベルにあるのかを客観的に判断することができます。

究極の貢献度指標「WAR」

セイバーメトリクスが生み出した数ある指標の中でも、「究極の指標」と称されるのが「WAR(ウォー)」です [9, 10]。WARは “Wins Above Replacement” の略で、直訳すると「代替可能選手を上回る勝利数」となります [11, 12]。

その核心的なアイデアは、「その選手がチームにいることで、もし代わりに”代替可能選手”を使った場合と比べて、シーズンで何勝多くもたらせたか」を数値化することにあります [11]。ここでの”代替可能選手”とは、平均以下の実力で、マイナーリーグなどから容易に獲得できる控えレベルの選手を指します [12]。

WARの最大の特徴は、その包括性です。打撃、走塁、守備、そして投球といった選手のあらゆるプレーを統合し、「勝利」という唯一の単位で評価します [9, 13]。これにより、ホームランバッターと守備の名手、あるいは打者と投手といった、全く異なるタイプの選手でも同じ土俵で貢献度を比較することが可能になります [10]。

例えば、ある選手のシーズンWARが「5.0」だった場合、それは「もしその選手がいなければ、チームの勝利数は5つ減っていた」ということを意味します [9]。WARの評価基準は以下の通りです [11]。

  • 0: 控えレベル
  • 2.0: 平均的なレギュラー選手
  • 5.0以上: オールスター級
  • 8.0以上: MVP級

WARは、選手の総合的な価値を測る上で最も信頼性の高い指標として、現在ではMVPの選考や選手の契約交渉においても重要な判断材料となっています [11]。

第2章:打者・大谷翔平の価値――歴史的スラッガーとの比較

セイバーメトリクスという新たな視点を手に入れた今、いよいよ大谷翔平選手の分析に入ります。まずは「打者・大谷」がどれほどの価値を持つのか、データを通じて明らかにしていきましょう。

数字が語る「打者・大谷」の傑出度

大谷選手がメジャーリーグでプレーを始めて以来、その打撃成績は年々進化を遂げてきました。特にOPSと、打撃・走塁面での貢献度を示すoWAR(Offensive WAR)の推移は、彼がリーグを代表するスラッガーへと成長していく過程を如実に示しています。

年度 チーム 本塁打 (HR) OPS oWAR
2018 LAA 22 .925 2.6
2019 LAA 18 .848 2.4
2020 LAA 7 .657 0.1
2021 LAA 46 .965 4.8
2022 LAA 34 .875 3.5
2023 LAA 44 1.066 6.1
2024 LAD 54 1.036 9.2

出典: Baseball-Reference.com [14]

2021年に初めてMVPを受賞したシーズンには、OPS.965、oWAR 4.8という素晴らしい成績を記録しました。これはOPSの基準で「素晴らしい(MVP級)」、WARの基準では「オールスター級」に相当し、打者単体で見てもリーグ屈指の選手であったことが分かります。そして2023年にはOPS 1.066、oWAR 6.1とさらに成績を向上させ、打者としての完成度が頂点に達しつつあることを示しました。

このデータが示す重要な事実は、大谷選手は「投手としては打撃が良い」というレベルの選手ではなく、打撃だけでもメジャーリーグのトップクラスに君臨するエリートスラッガーであるということです。これが、彼の二刀流の価値を考える上での大前提となります。

比較分析:バリー・ボンズの「神の領域」

大谷選手の打撃がいかに優れているかをより深く理解するために、野球史上最も支配的な打者とされるバリー・ボンズと比較してみましょう。特にボンズが2001年から2004年にかけて記録した成績は、まさに「神の領域」と呼ぶにふさわしいものでした [15, 16]。

選手名 対象期間 本塁打 (HR) OPS oWAR
大谷 翔平 2023年 44 1.066 6.1
バリー・ボンズ 2001-2004年 (平均) 52 1.368 11.1

出典: Baseball-Reference.com [14, 17]

表を見れば明らかなように、ボンズの成績は異次元です。しかし、ここで注目すべきは、その比較対象として大谷選手の名前が挙がること自体が、彼の打者としての価値を証明しているという点です。ボンズが人類史上最高の打者であるとすれば、大谷選手はその領域に迫るパフォーマンスを見せている、数少ない現役選手の一人と言えます。

さらに、この比較には数字に表れない重要な文脈が存在します。バリー・ボンズは、そのキャリアを通じて打撃に専念していました。彼のトレーニング、コンディショニング、研究のすべてが、最高の打撃結果を生み出すために最適化されていました [17]。

一方で、大谷選手はこれらの歴史的な打撃成績を、先発投手としての重責を担いながら達成しています。彼は打撃練習と並行してブルペンで投げ込み、相手打者の研究を行い、登板後の身体の回復にも努めなければなりません。打撃に100%のエネルギーを注げるボンズに対し、大谷選手は心身のリソースを投打に分配しながら、それに匹敵するレベルの結果を出しているのです。この「見えざる負担」を考慮すると、彼の打撃成績が持つ意味は、数字が示す以上に大きいと考えられます。

投手・大谷翔平の価値――現代最強投手との比較

打者として歴史的な存在であることを確認したところで、次に「投手・大谷」の価値を分析します。彼がマウンド上で見せる支配力は、打席での輝きに決して劣るものではありません。

数字が語る「投手・大谷」の支配力

投手としての能力を測る上で重要な指標は、9イニングあたりの自責点を示す「防御率(ERA)」、そして投球内容全般を評価する「投手WAR」です。大谷選手の投手としての成績推移を見てみましょう。

年度 チーム 勝-敗 防御率 (ERA) 奪三振 (SO) 投手WAR
2018 LAA 4-2 3.31 63 2.7
2021 LAA 9-2 3.18 156 4.1
2022 LAA 15-9 2.33 219 6.2
2023 LAA 10-5 3.14 167 5.9

出典: Baseball-Reference.com [14]

特筆すべきは2022年シーズンです。防御率2.33、219奪三振という成績を残し、投手WARは6.2を記録しました。WARの基準に照らし合わせると、これは「オールスター級」を優に超え、リーグ最高の投手に贈られるサイ・ヤング賞の候補に名を連ねるにふさわしいレベルです。

このデータが示すのは、大谷選手は「打者としては投球もできる」選手ではなく、投手だけでもメジャーリーグのトップエースとして評価されるべき存在であるということです。打者としての価値と同様に、投手としての価値もまた、単体で完結したエリートレベルにあるのです。

比較分析:クレイトン・カーショウの「絶対的エース」の領域

投手・大谷の実力を測るため、現代最高の投手の一人であり、将来の殿堂入りが確実視されているクレイトン・カーショウと比較します。カーショウはこれまでに3度サイ・ヤング賞を受賞しており、その受賞年の成績は、エース投手の到達点を示すベンチマークとなります [18, 19]。

選手名 対象期間 勝-敗 防御率 (ERA) 奪三振 (SO) 投手WAR
大谷 翔平 2022年 15-9 2.33 219 6.2
C. カーショウ CY賞受賞3年間 (平均) 19-7 1.96 240 7.5

出典: Baseball-Reference.com [14, 20, 21]

カーショウのサイ・ヤング賞受賞年の平均成績は、まさに圧巻の一言です。しかし、大谷選手の2022年の成績が、その歴史的なシーズンと比較しても遜色ないレベルにあることが分かります。防御率、奪三振、そしてWARのいずれにおいても、カーショウが君臨する「絶対的エース」の領域に迫っています。

この比較から導き出される結論は明確です。もし「投手・大谷」という選手が一人だけ存在したとしても、彼はサイ・ヤング賞を争うリーグ屈指の先発投手として、球界にその名を轟かせていたでしょう。彼の投手としての能力は、二刀流という枕詞がなくとも、それ自体が超一流なのです。

二刀流の真価――100年の時を超えたベーブ・ルースとの邂逅

ここまで、打者と投手、それぞれの大谷翔平選手がいかに傑出しているかを見てきました。しかし、彼の真の価値は、この二つの顔が一つになった時に初めて現れます。ここでは、投打の価値を合算し、野球の歴史における彼の真の位置づけを探ります。

投打の価値を合算する――大谷の「総合WAR」

WARが持つ最大の利点は、打撃、走塁、守備、投球といった異なるプレーを「勝利」という共通の尺度で評価できる点にあります [13]。これにより、大谷選手の打者としての価値(oWAR)と投手としての価値(投手WAR)を単純に足し合わせることで、彼の総合的なチームへの貢献度、すなわち「総合WAR」を算出できます。

年度 oWAR (打撃) 投手WAR 総合WAR
2018 2.6 2.7 5.3
2021 4.8 4.1 8.9
2022 3.5 6.2 9.7
2023 6.1 5.9 12.0

出典: Baseball-Reference.com [14]

この表が示す数字は衝撃的です。2021年以降、大谷選手は毎年「8.0」というMVP級の基準を大きく上回る総合WARを記録し続けています。特に2023年は、打者として6.1、投手として5.9、合計で12.0という驚異的な数値を叩き出しました。これは、オールスター級の打者とオールスター級の投手が、文字通り一人に凝縮されている状態を意味します。シーズンで10勝以上を上乗せできる選手など、球界広しといえども他に存在しません。

唯一無二の比較対象、ベーブ・ルース

大谷選手のような本格的な二刀流選手は、近代野球の歴史において実質的に一人しか存在しません。それが、「野球の神様」の元祖、ベーブ・ルースです [22, 23]。ルースはキャリアの初期、ボストン・レッドソックス時代にエース投手として活躍しながら、強打者としての才能を開花させました。彼が二刀流としてプレーした1918年と1919年は、大谷選手と比較するための唯一の歴史的データとなります [24]。

選手名 年度 oWAR (打撃) 投手WAR 総合WAR
大谷 翔平 2021-23年 (平均) 4.8 5.4 10.2
ベーブ・ルース 1918-19年 (平均) 6.5 3.4 9.9

出典: Baseball-Reference.com [14, 25]

データは、驚くべき事実を明らかにします。大谷翔平選手が二刀流としてプレーしたシーズンの平均総合WARは、ベーブ・ルースが残した伝説的なシーズンのそれとほぼ同等、あるいはそれを上回っているのです。100年の時を経て、私たちはルースに比肩しうる、あるいは凌駕する可能性を秘めた才能を目の当たりにしていると言えます。

しかし、この比較には、時代背景という重要な要素を加えなければなりません。ルースがプレーした1910年代と、大谷選手がプレーする現代とでは、野球の競技レベルが根本的に異なります。ルースの時代、メジャーリーグはまだ人種の壁が存在し、選手のトレーニング方法も科学的ではありませんでした。投手は今よりはるかに低い球速で投げ、打者はデータ分析なしに経験と勘で対峙していました [24]。

対照的に、現代の野球は極度の専門化が進んでいます。投手は160km/hの速球と科学的に設計された変化球を操り、打者は膨大なデータと映像を分析して対策を練ります。才能は世界中から集まり、競争のレベルはかつてないほど高まっています。

このような「現代の超専門化された野球」の世界で、大谷選手が100年前のルースと同じレベルの相対的な価値(WAR)を生み出しているという事実は、彼の偉業がいかに困難で、ありえないものであるかを物語っています。彼は歴史を繰り返しているのではなく、より過酷な環境で、歴史を塗り替えているのです。

思考実験「もし大谷が二人いたら?」――WARでシミュレーション

大谷翔平選手の価値をより具体的に体感するために、一つの思考実験を行ってみましょう。これは、ユーザーの皆様から寄せられた「もし大谷選手が二人いたら、チームはどうなるのか?」という問いに、WARを用いて答える試みです。

シミュレーションの前提

このシミュレーションでは、以下のシンプルな前提を設定します。

  • ベースとなるチーム: 勝率5割、すなわち81勝81敗の完全に平均的なチーム。このチームは強くも弱くもなく、プレーオフ進出にはあと一歩及ばない、ごく平凡なチームです。
  • 登場する「大谷選手」: 彼の価値を測るため、投打ともに最高のパフォーマンスを見せた2023年シーズンのWARを用います。
    • 「打者・大谷」の価値: oWAR +6.1勝 [14]
    • 「投手・大谷」の価値: 投手WAR +5.9勝 [14]

この思考実験は、「もし平均的なチームに、打者に専念する大谷選手と、投手に専念する大谷選手という二人の選手が加わったら、チームの成績はどう変わるか?」をシミュレートするものです。

チームへの衝撃――平凡からプレーオフ候補へ

計算は非常に明快です。

  1. まず、ベースとなるチームの勝利数は81勝です。
  2. ここに、平均的な指名打者(DH)の代わりに「打者・大谷」を起用します。チームの勝利数は、彼のoWARの分だけ上乗せされます。
    $81 + 6.1 = 87.1$勝
  3. 次に、平均的な先発投手の代わりに「投手・大谷」をローテーションに加えます。チームの勝利数は、さらに彼の投手WARの分だけ上乗せされます。
    $87.1 + 5.9 = 93.0$勝

シミュレーション結果:
平凡だった81勝のチームは、93勝を挙げるチームへと変貌しました。シーズン93勝は、単にプレーオフ進出を争うだけでなく、地区優勝も十分に狙える強豪チームの証です。つまり、「打者・大谷」と「投手・大谷」という二人の選手は、平凡なチームをワールドシリーズ制覇も夢ではないエリート集団へと引き上げる力を持っていることが分かります。

しかし、このシミュレーションが示す最も恐ろしい事実は、ここから先にあります。現実の大谷翔平選手は、この+12.0勝という凄まじい価値を、たった一人で、たった一つのロースタースポットで生み出しているのです。

通常のチームが同じ+12.0勝の上積みを達成しようとすれば、MVP級の野手(WAR 6.1)と、エース級の投手(WAR 5.9)という二人のスーパースターを獲得する必要があります。そのためには、2人分の高額な年俸と、2人分の貴重なロースタースポットが必要になります。

しかし、大谷選手を擁するチームは、1人分のコストと1つのロースタースポットで、2人分のスーパースターの価値を手に入れることができます。これにより、本来もう一人のスター選手が占めるはずだったロースタースポットが一つ空くことになります。その空いた枠に、守備のスペシャリストや、優秀なリリーフ投手、あるいはもう一人の打者を加えることができるのです。これは、WARという数字だけでは測りきれない、計り知れないほどの戦略的アドバンテージです。彼一人いるだけで、チーム全体の戦力設計の自由度が劇的に向上するのです。これこそが、大谷翔平という存在が持つ、究極の価値と言えるでしょう。

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結論-データが証明する「現代の神」

本記事では、「大谷翔平はなぜ神なのか?」という問いに対し、セイバーメトリクスという客観的なデータを用いて、その答えを探求してきました。神話的な賛辞から始まった我々の旅は、揺るぎない事実に基づく結論へとたどり着きました。

データが証明した事実は、以下の通りです。

  1. 打者としてMVP級である。 彼の打撃成績は、打撃に専念する歴史的スラッガー、バリー・ボンズと比較されるほどのレベルにあります。
  2. 投手としてサイ・ヤング賞級である。 彼の投球成績は、現代最高のエース、クレイトン・カーショウの全盛期に匹敵する支配力を示しています。
  3. 総合的な価値は、100年以上の野球史でベーブ・ルースにしか比肩しえない。 投打を合わせた貢献度は、より競争が激しく専門化された現代野球において、伝説の二刀流選手ルースの領域に達しています。
  4. 彼は一人で二人分のスーパースターに相当する。 WARを用いたシミュレーションは、彼一人の存在が平凡なチームをプレーオフの有力候補へと変貌させるほどの戦略的価値を持つことを示しました。これは、一つのロースタースポットで二つのポジションを支配するという、野球の常識を覆す奇跡です。

結論として、大谷翔平選手を「神」と称することは、決して単なる比喩や誇張ではありません。それは、彼がもたらす価値を最も的確に表現する言葉であると、データが雄弁に物語っています。打者としても投手としても、歴史上類を見ないレベルで試合を支配する能力。私たちは幸運にも、客観的な数字によってその存在が証明された、「現代の神」の目撃者となっているのです。

出典・参考資料

  • [1] 中日文化センター. (n.d.). セイバーメトリクス講座案内.
  • [4] shinyorke. (2020). セイバーメトリクスを学ぶ・活用する際に押さえておきたい「きほんのき」. shinyorke’s blog.
  • [2] ballcode. (n.d.). セイバーメトリクスとは何か? ~データで野球を読む新常識~. note.
  • [26] shinyorke. (2014). 野球のデータ分析手法「セイバーメトリクス」って何?をざっくりまとめてみた. shinyorke’s blog.
  • [3] kappa_rho. (n.d.). セイバーメトリクスと「ものの見方」. note.
  • [11] kaiketu-pg.net. (n.d.). 【野球】WARとは?わかりやすく解説!.
  • [13] Wikipedia. (n.d.). WAR (野球).
  • [12] sposuru.com. (n.d.). 【野球】WARとは?計算方法や評価基準、歴代ランキングまで解説.
  • [9] 1.02 – Essence of Baseball. (n.d.). WAR(Wins Above Replacement).
  • [10] motor-actuator.com. (n.d.). 【野球】WAR(ウォー)とは?本質を分かりやすく紹介.
  • [5] ABEMA. (n.d.). 【MLB】OPSとは?計算方法や見方、ランキングなどを解説.
  • [27] スポジョバ. (n.d.). 野球のOPSの意味は?計算方法や評価を徹底解説!.
  • [7] ENGATE. (n.d.). 野球のOPSとは?意味や計算方法、評価基準をわかりやすく解説.
  • [8] Wikipedia. (n.d.). OPS (野球).
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  • [5] ABEMA. (n.d.). 【MLB】OPSとは?計算方法や見方、ランキングなどを解説.
  • [11] kaiketu-pg.net. (2024). 【野球】WARとは?わかりやすく解説!.
  • [14] Baseball-Reference.com. (2025). Shohei Ohtani Stats, Height, Weight, Position, Rookie Status & More.
  • [17] Baseball-Reference.com. (2025). Barry Bonds Stats, Height, Weight, Position, Rookie Status & More.
  • [20] MLB.com. (2025). Clayton Kershaw Stats, Fantasy & News.
  • [25] Baseball-Reference.com. (2025). Babe Ruth Stats, Height, Weight, Position, Rookie Status & More.
  • [21] Baseball-Reference.com. (2025). Clayton Kershaw Stats, Height, Weight, Position, Rookie Status & More.
  • [22] MLB.com. (n.d.). Babe Ruth Stats, Fantasy & News.
  • [24] Wikipedia. (n.d.). Babe Ruth.
  • [23] Baseball-Reference.com. (n.d.). Babe Ruth.
  • [15] Wikipedia. (n.d.). Barry Bonds.
  • [16] Baseball-Reference.com. (n.d.). Barry Bonds.
  • [17] Baseball-Reference.com. (n.d.). Barry Bonds Stats, Height, Weight, Position, Rookie Status & More.
  • [18] Wikipedia. (n.d.). Clayton Kershaw.
  • [19] Baseball-Reference.com. (n.d.). Clayton Kershaw.
  • [24] Wikipedia. (n.d.). Babe Ruth.

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