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【連載第6回】仮説を立て、ChatGPTで検証する技術

公開日

2025年8月10日

更新日

2025年10月14日

前回の第5回では、「課題を経営視点で発見する管理職になる」というテーマで、論点整理やMECE、現場を言語化する力について取り上げました。今回は、いよいよコンサルティングの中核である「仮説思考」と、その実践を加速させる生成AI、特にChatGPTとの連携について掘り下げていきます。

課題を見つけることはスタート地点に過ぎません。問題を解決に導くには、「どのような構造で課題が発生しているのか」「どんな打ち手が効果的か」といった“仮説”を立てる必要があります。そしてその仮説を、迅速かつ柔軟に検証し、アップデートしていく。このプロセスにおいて、ChatGPTは非常に強力な補助役となります。

本稿では、

  • コンサルタントが実践する「仮説思考」とは何か
  • ChatGPTを使った仮説の構築と検証の方法
  • フレームワークを活用した仮説設計の実例

について、実務への応用を視野に入れながら、具体的に解説していきます。

仮説思考とは何か? そのビジネス価値

仮説思考とは、限られた情報の中で最も有望な答えを先に仮定し、それを出発点として情報収集や分析を進めるアプローチです。

従来の「情報収集→分析→結論」というプロセスでは、膨大な情報が必要になり時間もかかります。それに対して仮説思考は、

  • 「売上が落ちているのは、顧客が競合に流れているからかもしれない」
  • 「この新商品が伸び悩んでいるのは、ターゲットのニーズとずれているからでは?」

といった仮説を先に立て、その仮説に対して必要なデータを絞って収集し、検証していく方法です。

仮説思考はスピードが求められる現代ビジネスにおいて極めて有効です。そしてこの“スピードと柔軟性”の実現に、ChatGPTがぴったりとフィットします。

ChatGPTと仮説思考:最強のコンビになる理由

ChatGPTを使うことで、仮説思考のプロセスにおける以下のポイントで大きな助けを得ることができます:

  1. 仮説のアイデア出し
    問題に対して複数の視点から仮説候補を挙げたり、壁打ち相手として機能
  2. 仮説の構造化
    フレームワーク(3C、SWOT、バリューチェーン等)で整理・分類
  3. 仮説の検証
    過去の事例や一般的な傾向に基づいて、妥当性や代案を検討
  4. 仮説からアクションへ落とし込む
    改善策や実行ステップ、KPI案を生成

仮説を立てる:ChatGPTとの対話例

以下は、ChatGPTを活用して仮説を立て、検証・改善案に展開していく一連のプロセス例です。

ケース:自社ECサイトの売上が前年比20%減少

ステップ1:仮説出しを依頼

「ECサイトの売上が前年比20%落ちています。考えられる仮説を5つ、MECEに挙げてください」

ChatGPTからの回答(例)

  • 顧客数の減少(新規獲得力低下)
  • 既存顧客の離反(LTV低下)
  • 商品ラインナップの魅力低下
  • サイトUI/UXの悪化
  • 広告効果の低下

ステップ2:フレームワークで構造化

「上記仮説を、3C分析の形で分類してください」

ChatGPTからの回答(例)

  • Company:商品ラインナップ、サイトUX
  • Customer:既存顧客の離反、新規顧客獲得力
  • Competitor:競合の強化によるシェア奪取

ステップ3:検証方法を議論

「上記仮説のうち、広告効果の低下を検証する方法を提案してください」

  • 広告別のCVR・CPCを比較する
  • 広告前後で流入元の構成比を分析する
  • 競合の広告出稿量を調べる

ステップ4:改善提案へ

「広告効果が低下している場合の改善案を3つ提案してください」

  • クリエイティブの見直しとABテスト実施
  • 広告予算の再配分(SNS→検索連動型など)
  • 顧客層別のペルソナ再定義と訴求軸の見直し

フレームワークを活用した仮説設計のすすめ

仮説を立てる際に有効なのが、ビジネスフレームワークの活用です。ChatGPTに「○○フレームで考えて」と依頼すれば、自動的に構造化してくれます。

1. 3C分析(Customer・Company・Competitor)

「売上減少の原因を3Cで分類して、それぞれに仮説を立てて」

2. バリューチェーン分析

「業務プロセスの中で、コストが膨らんでいる要因をバリューチェーンで分解して仮説を立てて」

3. SWOT分析

「新規事業の成功要因についてSWOTの形で仮説をまとめて」

4. カスタマージャーニー

「CVRが低い原因をカスタマージャーニーで可視化して、それぞれ仮説を立てて」

仮説を問いに、問いを進化させる

仮説思考の真価は、「問いを立て、それを検証し、次の問いへと進化させていくサイクル」にあります。そしてChatGPTは、常に“次の問い”を提示してくれる存在です。

たとえば、

「この改善策は仮説Aに基づくが、仮説Bの可能性はどうか?」
「この仮説を別の業界で適用したらどうなるか?」

といった視点を加えてくれることで、視野の広がった思考ができるようになります。

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まとめ:管理職こそ仮説思考×AIのスキルを

これからの管理職には、仮説を立てて行動を決める「思考の速さ」と「構造化力」が強く求められると感じています。そして、その能力を補完・強化してくれるのがChatGPTです。

  • スピーディに仮説を立て
  • 柔軟に視点を変えて検証し
  • チームを巻き込みながら改善を実行する

こうした一連の流れをリードできる管理職こそ、生成AI時代において高い価値を発揮し続ける存在になるのではないでしょうか。

次回は、「アイデア発想をChatGPTと加速させる方法」について、創造力と構造化のバランスをどう取るかをテーマに深掘りしていきます。どうぞお楽しみに。

<文/綱島佑介>

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