【連載第3回】ChatGPTでコンサル仕事の何割ができるか?
公開日
2025年8月7日
更新日
2025年10月14日
前回は、経営コンサルタントの業務プロセスを6つの工程に分解し、それぞれの工程がどこまで生成AIで代替できるかを検討しました。生成AIが知的業務に及ぼす影響は、思っている以上に深く広く、特にChatGPTのような対話型AIの登場によって、私たちの「考える」「整理する」「伝える」というプロセスに変化が起きつつあると感じています。
今回は、その中でもさらに具体的に、「ChatGPTを使えば、どのコンサル業務が、どれくらい、どのような形で代替可能なのか?」を考察していきたいと思います。実際の使用例を交えつつ、どの業務で活用しやすく、どの工程は人間でなければ対応できないのかを整理していきます。また、最後には、各業務ごとの「AI対応度マトリクス」もご紹介し、現場での導入イメージを掴んでいただけるようにしたいと考えています。
今回は、その中でもさらに具体的に、「ChatGPTを使えば、どのコンサル業務が、どれくらい、どのような形で代替可能なのか?」を考察していきたいと思います。実際の使用例を交えつつ、どの業務で活用しやすく、どの工程は人間でなければ対応できないのかを整理していきます。また、最後には、各業務ごとの「AI対応度マトリクス」もご紹介し、現場での導入イメージを掴んでいただけるようにしたいと考えています。
この記事の主な内容
ChatGPTができるコンサル仕事の具体例
ここでは、私自身が日常的にChatGPTを活用する中で「これは実務でもかなり使える」と感じた事例を中心に、活用シーンを紹介してみたいと思います。もちろん、すべてが万能というわけではありませんが、特定の工程においてはかなりの時間短縮と質的向上が見込める場面が多くあると感じています。
仮説出し(アイデアブレスト)
- 「顧客満足度が下がっている原因の仮説を出して」
- 「このデータから想定されるボトルネックを推測して」
- 「3C視点でこの業界を分析して」
- 「Z世代向けサービスにおける、想定される競合の動きを予測して」
こうしたプロンプトに対して、ChatGPTは多角的な視点から仮説を提示してくれます。トレンド情報を踏まえた予測や、思いつかなかったような因果関係に気づかされることもあり、特にブレインストーミングの初期段階では非常に効果的です。
資料作成(構成・文章生成)
- 「SWOT分析を報告書形式でまとめて」
- 「経営層に提案する施策案を3案に整理して」
- 「社内説明用にプレゼン資料のアウトラインを作って」
- 「成功事例と失敗事例を比較した簡易レポートを作成して」
ChatGPTは、構成案の提示、見出しの付け方、論理構成の整理などが得意で、たたき台の資料作成として活用しやすいです。WordやPowerPointのドラフト作成にかかる時間を半減できるケースも多く、特に「最初の一歩を踏み出せない」場面で重宝します。
アイデア整理・選定
- 「考えた施策案5つを、インパクト×実現性でマトリクスに整理して」
- 「この提案のメリット・デメリットを列挙して」
- 「ステークホルダー別に影響をまとめて」
- 「リスクとその対策案をセットで提示して」
情報が多すぎて混乱している時や、複数の選択肢を比較したい場面でも、ChatGPTは役立ちます。考えの交通整理や論点の明確化に非常に効果的で、「話がうまく整理できない」「伝わりにくい」といった悩みを持つ方にとって、実践的な補助線になります。
コンサル業務におけるAI対応度マトリクス
次に、経営コンサルタントが行う代表的な業務について、ChatGPTでどれだけ代行・支援が可能かを整理したマトリクスを紹介します。
| 業務内容 | ChatGPT対応度 | 補足・留意点 |
|---|---|---|
| 仮説出し | ◎ | 多角的・高速な思考展開が可能。ただし根拠の精査は人手が必要。 |
| フレームワーク分析 | ◎ | 3C・SWOT・PESTなどの型には強いが、深堀りは限定的。 |
| 資料構成・文章作成 | ○ | 論理構造は整理されるが、最終的な調整・表現は人間が必要。 |
| アイデア整理・比較 | ◎ | 思考の壁打ち役・整理役として効果的。 |
| KPI設計/施策整理 | ○ | フレーム提示は得意。実務に落とし込むには人の補完が必要。 |
| 現場観察・ヒアリング | × | 非対応。人間の関係構築力や感情理解が不可欠。 |
| 実行支援・伴走 | △ | 進捗管理、質問回答など一部支援は可能だが、主体性は人間に依存。 |
こうして見ると、「頭を使う作業」=知的業務のすべてがAIに代替されるわけではありません。特に「人と向き合う」業務や、「その場で状況判断する」能力には、現時点では人間の強みがあり続けています。
ChatGPTと協業する“社内コンサル”としての管理職像
これからの管理職には、「AIに負けない力」ではなく、「AIをうまく使いこなす力」が求められると私は考えています。生成AIは、あくまでも“代替者”ではなく、“思考の相棒”です。自分の考えを言語化してくれる存在であり、資料作成を効率化してくれる存在でもあります。
だからこそ必要なのは、以下の3つの力です:
- 問いを立てる力(プロンプト力)
- 答えを吟味する力(批判的思考力)
- 情報を再構成する力(編集力・伝達力)
この3つの力を持つことで、管理職は“社内コンサルタント”として、AIと協働しながら変化の激しいビジネス環境の中でも価値を発揮できる存在になれるのではないかと思います。
「使える人」が価値を出す時代へ
ChatGPTが普及することで、「考える」や「調べる」といった仕事のハードルは下がっています。しかし、単にツールとして知っているだけでは不十分で、「どんな問いを立て、どう答えを活用するか」という使い方の差が、アウトプットの質を大きく左右します。
AIができることと、人間にしかできないこと。その境界線を理解し、上手に役割分担できる人材が、今後の職場では求められるようになると感じます。
次回は、実際にChatGPTに「どう問いかければよいか?」に焦点を当て、コンサルタント的な問いの作り方・プロンプト例をご紹介します。管理職が実践的にChatGPTを活用するためのヒントをたっぷりとお届けしますので、どうぞお楽しみに。
次回は、実際にどんなプロンプトを使えばChatGPTから実践的な提案を引き出せるかをご紹介します。お楽しみに。
<文/綱島佑介>





