中学2年生で数検1級合格! 史上最年少合格者の菅原響生くんに突撃インタビューしてみた。
公開日
2016年6月14日
更新日
2016年6月14日
こんにちは。マスログのライター、キグロです。
2016年4月17日に実施された実用数学技能検定。
その最難関である1級に、菅原 響生(すがわら ひびき)くんが史上最年少(13歳)で合格しました! 響生くんが大人のための数学教室「和」の生徒でもあることは、前回の記事でも紹介しました。
そこで今回の記事では、私キグロが響生くんに突撃インタビュー! 響生くんに数検の感想や、数学への想いなどを聞いてきました。
趣味は数学の問題を作ること
キグロ:まずは数検1級合格、おめでとうございます。
響生:ありがとうございます。
キグロ:(早速数検の感想を……聞く前に、少し世間話をしようかな。そういえばさっきパソコンをいじっていたけど、何してたんだろう?)
キグロ:さっきパソコンで何をしていたんですか?
響生:自分で作った問題を見ていました。
キグロ:自分で作った問題?? どんな問題を作っているんですか?
響生:急に思いついた問題をメモしているんですが……。(PCを開く響生くん)
キグロ:え、これ全部、自分で考えたんですか?
響生:はい。テレビを見ているときとかに思いついた問題です。
キグロ:テレビって(驚)。いったいどんなテレビ見ていたら思いつくんですか??
響生:いや、うーん? 見ている番組に関わらないので……。
キグロ:(苦笑)問題を見せてもらってもいいですか?
響生:はい。例えばこんな問題があります。ありそうでない連分数の問題とか……。
響生:これはこの間まで解けてなかったんですよ。でもロマンティック数学ナイトで紹介したら、Twitterで答えが送られてきたんです。
キグロ:Twitterで!?(数学が好きな人はTwitterでも数学するのか……)
響生:それでマクローリン展開とか使ってやると、答えが になることがわかりました。
キグロ:へぇー! 不思議!
響生:で、同時にこの2問も紹介したのですが……。
響生:実は同じ解き方ではできなくて。さっきの問題は1, 2, 3, …となっていたから解けたんですが、2乗になると同じ解き方が使えなくなるんです。これらはまだ解けていません。
キグロ:こういう問題作りは、どのようなところが面白いですか?
響生:こんな感じで、「面白い問題を思いついたなあ」と思ったら書き留めているんですが……。こういう問題は、しばらくは解けないところにロマンがあって、解法のエレガントさに面白いところがあると思います。
数検は面白かった!
キグロ:数学が好きな人には、「問題を解くのが好き!」という人や、「定理を証明するのが好き!」という人など、色々なタイプの人がいると思いますが、響生くんはどういうタイプの「数学好き」ですか?
響生:うーん……。やっぱり問題を作ったり解いたりするのが好きですかね。証明とかも楽しいですが。
キグロ:じゃあ、今回の数検で面白かった問題はありますか?
響生:ありました。特に、1次試験で出た問題3が面白かったです。(喜々として問題を取り出す響生くん)
響生:これが意外と、場合分けが色々あって大変でした。問題では距離が3ですが、これをnにしたら面白いかなと思いました。試験のとき、初めはx, y, z, wが全部プラスだと思って解いていて、全く違う答えを出していました。でもあとでマイナスを忘れていることに気付いて解き直して、正解が出せました。家に帰ってからWolfram Alpha(注1)で正しいことを確認して、「よかったよかった」ってなりました。
(注)複雑な計算を一瞬でやってくれるWebサービス。
響生:ほかに面白かったのは、この問題です。これはひらめき系かな。
響生:この問題ははじめ、難しく考えすぎたんですね。これは実はx = 4を代入するとうまくいきます。そのことに試験中に気が付いて、そのあとほかに解はないのかと探しているうちに時間切れになってしまいました。でも、「よかった、x = 4であっていたんだ!」と。解が1個だけなのが面白いと思いました。
キグロ:1次試験(注2)は全7問中5問正解で合格ですが、響生くんは全問正解したのですか?
響生:いや、1問だけ解けなかったんですね。問題7です。明らかに間違った答えが出てきて、「あ゛ーー」ってなりました。問題1と7があっているかわからなかったです。
(注2)数学検定には1次試験と2次試験があり、1次試験は解答のみを書き、2次試験は解答に至る過程も書きます。2次は正解に至らなくても、解法があっていれば部分点がもらえることもあります。1次は全7問必答、2次は全7問のうち2問が必答問題で、残り5問のうち2問を選択して答えます。
キグロ:2次試験はどうでしたか?
響生:2次試験は見直しをする時間がなかったです。選択問題もどれにするかも迷いました。最後の5分まで迷い続けて(笑)。
キグロ:迷いすぎ(笑)。それで、結局どれを選んだのですか?
響生:統計の問題がt分布の問題で解けそうだったので、まずはそれを選びました。そのあと、トランプを使った問題(問題5)と自然数の和に関する問題(問題1)があったので、最終的に問題1を選びました。でもそれ、正解率が一番低かったんです。選択ミスでしたね。でもとりあえず行けるところまで行こうと思って、そのまま時間が終わったって感じでした。
「和」では大学レベルの数学を勉強
キグロ:いま響生くんは大人のための数学教室「和」に通っていると思いますが、和ではどんな授業を受けているんですか?
響生:今回の数検でも助けてもらいましたし、(大学レベルの数学の本を手に取って)これのわからないところを解説してもらったりしています。
キグロ:ということは、その本を持って行って「ここがわからないから教えて」みたいに聞いているんですか?
響生:事前にメールで質問したりもしていますが、そんな感じです。先生に「僕はこう考えたんですが」っていうと、先生が「私はこう考えた」って答えて……みたいな感じです。
キグロ:「和」ってそんな授業もしているんですね(笑)。
将来の夢は数学者
キグロ:将来はどういう方向に進もうと思っていますか?
響生:数学者かプログラマ……でもやっぱり数学者になりたいかな。
キグロ:すごいですね。数学者になったら、数学のどのジャンルを研究したいですか?
響生:うーん、まだ決まっていません。
キグロ:では、数学者になってどんなことがしたいですか?
響生:例えば、今は解けない方程式が解けるようになるような、新しい分野や概念を作ってみたいです。そういう方程式とかが簡単に解ける方法とかが見つけられたらいいなと。
キグロ:宇宙際タイヒミュラー理論(注3)みたいな?
(注3)ABC予想という超難しい問題を解くために作られた超難しい理論。
響生:(苦笑)そうですね。その理論がないと解けない、っていうものとか作りたいです。
キグロ:なるほど。では響生くんの活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました。
ということで、数学大好きな響生くんのインタビューでした。数学について語っているときの、とても生き生きとした表情が印象的でした。ちなみに、取材後にお母様とも少しお話をして、どうしたら子供が勉強好きになるか伺ったところ……。
「『勉強しなさい』と言うのではなく、親が隣で勉強していれば、子供も勝手に勉強好きになる」
とのことでした。世の親御さん方、試してみてはいかがでしょうか?
参考リンク:公益財団法人 日本数学検定協会
(文/キグロ)