【マスログ】アルキメデスの功績に学ぶ~円周率編~
公開日
2025年2月25日
更新日
2025年4月9日

【マスログ】アルキメデスの功績に学ぶ~円周率編~
こんにちは。前回は、数学史に名を残す天才アルキメデスの生涯についてお話しましたが、今回はその続編として「円周率」に焦点を当ててみたいと思います。実は前回の記事を書いているうちに、円周率についてもっと語りたくなってしまい、思わずこのテーマで記事を1本書くことになりました。明日誰かに話したくなるような円周率の面白さを、少しでも感じていただけたら嬉しいです!
円周率とは何か?
まずは円周率の基本的な復習からはじめましょう。3.141592…と続くおなじみの数字、これは小数点以下が無限に続くことでも知られています。しかし「円周率って何?」と聞かれたとき、意外とすぐに答えられない方も多いのではないでしょうか。
円周率とは、円の「直径」に対する「円周」の長さの比のことを指します。つまり、どんな円であっても、円周を直径で割ると常にこの一定の値、約3.14になるというわけです。この普遍的な比率こそが、円周率なんですね。
円周率に魅せられた中学時代
実は私、円周率を小数点以下100桁まで暗記するのが特技です。これを始めたきっかけは中学1年生の数学の授業でした。初回の授業で先生が数学の魅力を語ってくださり、その中に円周率の話がありました。私はそれを聞いて「なんて面白いんだ!」と感動し、教科書の巻末に載っていた円周率表を毎日少しずつ覚えるようになったのです。
ところが、ある日ふと「そもそも円周率を計算できる式があれば、覚える必要なくない?」と思い始めました。分数で表せる数式があれば、計算しながら円周率を唱えるという夢のようなことができるのではないかと考えたんです。
でも残念ながらこの発想は、後に「円周率は無理数」という事実を知ったときに消えました。つまり、円周率は分数では表せず、しかも小数が循環することなく永遠に続いていく数なのです。覚えるにしても、計算するにしても、やっぱり一筋縄ではいかない奥深さがあるということですね。
大学の入試にも登場する円周率
円周率の近似に関する問題は、なんと東京大学の入試にも出題されたことがあります。ある年の問題では「円周率が3.05より大きいことを示せ」という問いが出されました。
この問題を別の言い方にすれば、「直径1の円の円周の長さが3.05より大きいことを証明せよ」ということです。この問題を解くには、円の中にすっぽり収まる図形を使って考えるという方法が有効です。
まずは直径1の円を用意し、その中に正方形を入れます。直径が1なので、正方形の対角線の長さが1になります。すると一辺の長さは√1/2、つまり正方形の周の長さはその4倍で約2.8です。これにより、円周は少なくとも2.8よりは長いことがわかります。
しかし、3.05にはまだ足りません。そこでさらに辺の数が多い正多角形、たとえば正12角形を使えば、周の長さが3.05を超えることが証明できます。実際、こうした方法が古代から円周率の近似に使われてきたのです。
アルキメデスのアプローチと現代の計算法
この発想こそ、あのアルキメデスが取り組んだ方法でした。彼はなんと正96角形を使って、円周率が3.1408から3.1429の間であることを示したと言われています。当時はもちろんコンピューターなど存在しません。それでもここまで精密に計算したというのは驚きです。
一方で、現代の円周率の計算はまったく違うアプローチが使われています。現在では数十兆桁もの円周率が計算されており、その方法として「無限級数」という数学的手法が用いられています。
これは、分数を無限に足したり引いたりすることで、最終的にπの値に近づいていくという方法です。たとえば、ある無限級数の式では、分母がすべて奇数で、その分数を交互に足し引きしていくと、最終的にπ/4の値になるというものもあります。
このような式は非常に精密な計算が必要なので、スーパーコンピューターを使って何兆回という回数を繰り返し、円周率をより多くの桁まで求めていくのです。今後、量子コンピューターのような新しい技術が本格的に使われるようになれば、円周率の桁数もさらに更新されていくかもしれませんね。
まとめ
ここまで円周率について、基本から入試問題、そして現代の計算方法まで幅広くご紹介してきました。円周率は小学校から登場する身近なテーマでありながら、大学入試や最先端技術にも関わってくるという奥深さがあるんです!
今回の内容は、以前の記事「アルキメデスの功績」に関連したものですが、もうひとつ関連テーマとして「浮力」についても記事を書いています。そちらもご興味のある方はぜひご覧ください。
次回のマスログもお楽しみに!