原因と結果の思考法入門 Step2−効果測定法 回帰モデル編−講義抜粋
公開日
2024年12月12日
更新日
2025年4月19日
和から株式会社主催「原因と結果の思考法入門 Step2−効果測定法 回帰モデル編−」講義抜粋。多変量解析法である回帰モデルを用いた因果の把握法をご紹介いたします。
本講座の開催は終了しております。
因果関係についてじっくり学びたい方には以下の講座をオススメします。
▶施策効果をどう測る?ビジネスデータで学ぶ因果推論入門
※動画でもご覧いただけます。
この記事の主な内容
回帰モデルの概要
回帰モデルはデータ分析の基本です。これは、複数の変数(例えばx1、x2、x3)がどのように結果に影響を与えるかを解き明かす数式を作成するプロセスを指します。各変数にはそれぞれ係数(β1、β2、β3)が割り当てられます。この係数はそれぞれの変数が結果にどの程度影響を与えるのかを示すものです。
例えば、経済学では、消費者の収入や支出、価格変動などが売上にどのように影響するのかをこの方法で解析することができます。こうした因果関係を数式で明確にすることで、結果を予測する精度を高めることが可能になります。
回帰分析の実施
回帰分析は、特にビジネスの現場で売上予測などに応用されます。複数の影響要因に対して、それぞれの重要性や影響度合いを数値化することで、予測モデルを構築します。
例えば、売上を予測する際に、広告費(x1)、プロモーション活動(x2)、製品の季節性(x3)を考慮します。それぞれの要因に特定の係数(β1、β2、β3)をかけて売上の変動を予測することで、どの要素がより大きな影響を持つのかを理解することが可能です。
この分析過程を通じて、ビジネス戦略の効果を事前に予測し、戦略の最適化を図ることができます。
回帰係数と信頼性
回帰分析の結果で得られる係数(β)は、各変数が結果に与える影響の大きさを示します。その正確性を判断するためには、「p値」が用いられます。p値は、仮説検定の結果から因果関係が偶然でない確率を示し、通常、0.05以下の数値が信頼性の高い因果関係を示唆します。
例えば、「気温が上がるとアイスクリームの売上が増える」という仮説を検証した際に、p値が0.05以下であれば、この関係性は高い信頼性を持つと判断されます。一方、p値が高いと信頼性は低く、因果関係の確固たる証明が得られないことを示します。
回帰分析における問題点
回帰分析には、交絡因子の存在という問題点があります。データの中に、結果に影響を与えるが分析には含まれていない隠れた要素が存在すると、分析の結果を歪める可能性があります。
例えば、特定店舗の業績が良い理由を分析する際、その店舗が市場で有利な立地条件にあることが無視されると、誤った因果関係が導かれる恐れがあります。このため、回帰分析を行う際には、データに潜む交絡因子を意識して結果を解析し、信頼性を高めることが重要です。
信頼性と効果の解釈
p値を中心に因果関係の信頼性を評価する際、大切なのは一貫性です。例えば、5%の有意水準を基準にするのか、10%にするのかという基準は分析の目的により異なりますが、基準を変更することで解釈が矛盾する可能性があります。
信頼性の高い結論を得るためには、分析の目的に応じた基準の一貫した適用が求められます。ビジネスにおいても、基準を統一することで、戦略の判断におけるブレを防ぐことが可能です。
交絡因子の識別
交絡因子は、正確な因果関係の特定を妨げる要素です。これを識別することで、分析の精度を向上させることが可能です。例えば、ある店舗の売上が高いことを分析する際、その店舗が本社から遠く、支援を容易に受けられない状況が売上に影響することも考えられます。
こうした要因を検討することで、より正確な因果関係を掴むことが可能です。これにより、真の要因を基にした効果的な戦略立案や改善策の提案が可能となります。



