MATH POWER 2018 開催報告レポート ~2日目~
公開日
2018年10月11日
更新日
2019年11月27日
MATH POWER 2018の2日目が始まりました。数学の決闘から、有名先生のご講演、ロマンティック数学ナイトまで引き続き時系列にレポートしていきます。
なお、1日目の記事を読まれていない方はまずは下記リンクから読んでみてください!
数学の決闘 供養 8:30~
2日目朝一の企画は数学の決闘の問題供養でした。数学の決闘に応募された問題から様々な理由で採用されなかった問題達を供養します。朝から「チーン」という鈴の音が悲しく響き渡りました。総合司会のタカタ先生が匿名で応募された問題は本戦にも、本供養企画にも落選しましたが、無事供養が行われました。
数学の決闘 予選 9:30~
こちらも恒例となった数学の決闘予選は塾講師、高校生、大学生、素数大富豪、去年の優勝チーム等の様々なチームが10チーム参戦しました。
予選は3戦ありそれぞれ30分間、20点ずつで合計点の多い上位2チームが夕方に行われる決勝に進むことができます。予選を突破したのは昨年優勝のゴールドラッシュチーム、筑駒出身の大学生たちによるTK65.8チームでした。
北海道の素数大富豪チームは予選3戦全て素数点、合計も素数点を獲得し、予選突破した2チームより喜んでいたのが印象的でした。
数学に目覚めた頃 ~ちょっと変わった数学発信者の生態~ 12:00~
Youtuberの鈴木貫太郎さん、ヨビノリたくみさん、twitterのbotのグレブナー基底大好きbotさん、可換環論botさん、そして謎の組織「暗黒通信団」の下っ端のシさんを迎え、パネルディスカッション形式でその生態を探っていきました。数学的な話題はほとんど扱っていないのですが、登壇者同士が突然叩き合いをしたり、ただおじさんがお酒を飲みながら歌を歌う動画が流れたりと、カオス理論を感じさせる企画となりました。司会は弊社の松中が務めました。すべてのメンバー非常にキャラが濃い中で「司会が一番やばい。」というコメントをたくさん頂きましたが全然そんなことはありません。
講演 数学と実世界が出あうとき 13:30~
東京工業大学の渡辺澄夫先生による人工知能と数学の講演でした。実世界の話から始まり、実世界を学習するモデル、そのモデルの性質を数学を使って解析し、再び実世界に戻し数学と実世界が出会う。よみがえる伝説と称して岡潔先生の伝説を語るなどストーリ仕立てで、ロマンあふれるご講演でした。D加群、ゼータ関数、特異点解消定理等々、数学の世界でしか聞かないような数学用語が、現実世界で有用な人工知能の学習に使われるという事で純粋数学の強さを感じました。
講演 深層学習と時空 15:00~
大阪大学の橋本幸士先生は最近話題の深層学習(ディープラーニング)と物理学の関連についてご講演してくださいました。橋本先生は物理学者ということで、数学者と物理学者の違いを小ネタとして講演の随所随所で語り笑いを誘いました。物理学者は量子力学と重力を統一する量子重力理論の完成を目指しており、その一つの解決策としてホログラフィー原理というものが提案されています。ホログラフィー原理を前提として、どういう量子状態なら今の宇宙が再現されるのか、その解決に深層学習が有効だそうで、研究が進んでいます。
数学の決闘 決勝 16:00~
昨年優勝のゴールドラッシュチーム、筑駒出身の大学生たちによるTK65.8チームによる決勝戦が行われました。問題は全部で3問あり、その後ステージ上でライブ採点が行われます。採点者のすうがくぶんか内場先生が「これすごくいい」、「筋がいい」、「あーそういく」、「あーなるほど」などと話しながら採点が進んでいきます。両チーム1問目、3問目は満点を獲得し、鬼門の2問目が勝敗を分けました。2問目が解けなかったTK65.8チームに対し、8+α点を獲得したゴールドラッシュチームが2年連続で数学の決闘チャンピオンになりました。景品はもちろん数学書です!おめでとうございます!
ロマンティック数学ナイト 18:00~
MathPowerの締めの企画として恒例となっているロマンティック数学ナイトを今年も開催し、7名のロマンティストが自分の好きな数学について語りました。
↑トップバッターは現役高校生で受験生の電たくTさんです。「二次方程式は解を二つしか持たない」といった、高校数学の教科書に書かれている嘘を発見し披露しました。
↑結婚相談所の樽本佳奈依さんが結婚率、離婚率について語りました。日本では3組に1組が離婚するなどと言われていますが、それは数字のまやかしであり、離婚件数は世界的に見ても少ないということです。
↑日曜数学会のキグロさんが、なぜギリシャ時代に円積問題を解きたかったかという謎について語りました。動画による説明でとても分かりやすいプレゼンでした。
↑4人目はリケジョ・シンガーソングライターの式紗彩さんは生歌で「君にしか導けない方程式」という楽曲を披露しました。スモークや照明などニコファーレの本領発揮で圧巻の音楽LIVEでした。
↑三好潤一さんはご自身で考案された「ゴドマチ」、「陣目取り」という数学ゲームを披露し、「楽しそう」、「面白そう」というコメントがたくさん流れていました。宴会部長のようなプレゼンが好印象でした。
↑松﨑遥さんは「計算するとは何か、それは演繹なのか、帰納なのか」という本質的な問いについて語りました。松崎さんはご自身のマシンがいつか「定理」を語り出すことを夢見て、今日も動かし続けています。
↑大トリのエマ理永さんは世界的なファッションデザイナーで、数理の考えをデザインに応用して素敵なドレスを生み出し続けています。エマ理永さんの独特の語り口に会場と、コメント欄がうっとり酔いしれていました。
エンディング 20:00~
32時間続いた数学のお祭りのエンディングは、2つの耐久企画の結果発表から始まりました。
まずは32時間耐久円周率計算の結果発表です。2年前の同耐久企画では残念ながら小数点以下18桁までしか正しく計算できませんでした。そのリベンジとして小数点以下100桁を目標に始まった今年の円周率計算ですが、何と小数点以下9桁までしか正しく計算できず、記録更新どころか衰退してしまいました。敗因は「ルートの計算をなめていた」ということです。来年のリベンジが望まれます。
もう一つの耐久企画の280合体ナンプレは、去年も最後のマスを埋めたナンプレガールが今年も最後のマスを埋め、無事ギネス記録達成となりました!ナンプレを1マスでも埋めたみんなでとったギネス記録です!目の前でギネス記録の授与式も行われ盛り上がりました。
最後は恒例となった「マスパワー」連呼でMath Power 2018の幕が下りました。
今年は例年以上に数学、数学をする人の多様性を感じた32時間でした。フィールズ賞や楕円曲線などのガチ数学が好きな人、数式をビジュアライズして楽しむ人もいれば、数学をお笑いに変えて広めようとしている人もいる。とにかく素数大富豪が好きな人もいれば、いろいろな形で数学を発信する人がいる。機械学習や理論物理の根本に数学も使われていますし、数学パズル、数学の音楽、ファッションデザインにロマンを感じる人もいる。みんな違ってみんないいと感じました。
最後に、我々、和から株式会社と同じく主催の、エンジニア業界発展のための出版ブランド「アスキードワンゴ」さん、新宿で数学・統計教室を展開する「株式会社すうがくぶんか」さん、そして、ご尽力いただいたスタッフの皆さん、このイベントを楽しんでくださった全ての皆さんに感謝です!
ハッシュタグ「#Mathpower」もtwitterトレンド2位まで上昇しました!それではまた逢う日まで!
おまけ(和からCM)
今回のMathPower 2018で初披露された弊社和からのCMが大変好評でした!是非ご覧ください!後日、このCM作成の裏話も公開したいと思います。
●MATH POWER 2018の公式ページはこちらから↓
http://mathpower.sugakubunka.com/
●MATH POWER 2018はニコニコ動画で楽しめます!是非ご覧ください!↓
(文/松中宏樹)