翼をさずける!第8回「ロマンティック数学ナイトU22」開催!@レッドブル
公開日
2017年9月2日
更新日
2019年11月27日
2017年8月26日、今回で第8回を迎える「ロマンティック数学ナイト」が、東京渋谷にあるRedBullJapanにおいて開催されました!
レッドブル飲み放題だぜ! やったー!
「内なる数学を解き放て!」をスローガンに数学のロマンをひたすら語り合うこのイベント、なんと今回は「U22」ということで22歳以下限定開催! 会場には若いエネルギーが溢れています。
どうも。「数学のファン」鯵坂もっちょです。私自身はがっつりオーバー22なので会場を満たす若さに若干押され気味です。最近腰が痛いし。
いよいよ開場!
開場と同時に150人以上の来場者がつめかけます。
熱気がすごいよ!
司会は今回もお笑い芸人と高校の数学教師という二足のわらじで活躍するタカタ先生。
「私も何度もロマンティック数学ナイトの司会やってますけどね、『ゼータ関数』とか何度も名前聞きますけどゼータ関数のことなんて全然わかってないですよ。でもそれでいいんです! わからないを大切にしましょう!」
ほんとそれ! わからないことがあるということはその分「わかる感動」を味わうことができるということ。わからなさを存分に味わえるイベント、ロマンティック数学ナイトです。よろしくお願いします。
さっそくプレゼンスタート!
U22ということで、今回はプレゼンター……いや失礼、ロマンティストの方々もみんな22歳以下です。一体どんな数学が飛び出すのか楽しみ!
【1】風巻さん
「学校で教えてくれない教えてくれる数学」
「いろいろな証明を見て楽しもう」
トップバッターは大学で教育学を学んでいるという風巻さん。タカタ先生と同じ大学ということで、先生のテンションも上がります。
「いろいろな証明を見て楽しもう」ということで、今回は三平方の定理について、「内接円の性質」「方ベキの定理」などを使ったさまざまな証明法を視覚的に表示してくれました。会場からは感心の声が!
【2】アラクーさん
「項書き換えと「計算」の数学」
「普段と違った観点で数学を見るロマンティシズムを皆さんも感じて下さい」
音楽制作もされているアラクーさんの発表は計算機代数について。「計算ってそもそも何?」というところから始まって、「書き換え規則」の集合である「項書き換え系」というものについて解説してくれました。全然知らなかった分野で新鮮!
【3】電たくTさん
「信じるものは掬われる ?Those who believe shall be tripped?」
「教科書に書いてあることは本当に正しいのか?」
「名前のTはトポロジーのTってことにしておきます」という電たくTさんの発表は、正しいと無反省に信じてしまいがちな「教科書」の厳密でない箇所にツッコミを入れていく話。「内角の和が180°でない三角形」「底角が等しくない二等辺三角形」などの登場に会場は笑いの渦に包まれました!
【4】菅原響生さん
「○○素数大富豪」
「素数大富豪は伸びしろのあるゲーム」
素数を使ったトランプゲーム「素数大富豪」についての発表をしてくれるのは、史上最年少で数学検定一級合格の菅原響生さん。「特殊カード入り素数大富豪」「すごろく素数大富豪」「イカサマ素数大富豪」など、自ら考えた素数大富豪の派生ゲームをたくさん提案してくれました! プレゼンに仕込まれた最後の仕掛けにもビックリ!
【5】千葉逸人さん
「大学教員の実態とは」
▲写真は懇談タイム時の様子。
「仕事量はn倍になったが給与はεしか増えない」
特別枠として大人の視点から語ってくれるのは、なんと九州大学准教授、千葉逸人さん。「数学者」でググると真っ先に写真が表示されるのはこの方です(つよい)。
「大学教員の実態についてリアルでグロい話をします」との言葉通り、大学教員の実際の仕事内容から給与まで(リアルな金額がスクリーンに大写しされて会場絶句)、若者の進路設計に大きな影響を与えてしまうであろうガチグロなお話をしていただけました! 本当に大丈夫なのか。これ。
【6】鰆さん
「日本の数学と関孝和」
「日本人の美的感覚は数学とつながっている」
鰆さんの発表は「遺題継承」などの和算の文化について。二変数の代数方程式を解くために行列を考えた関孝和など、鎖国下の日本ではヨーロッパより進んだ数学を研究していたとは驚かされます!
【7】水無月さん
「TexとKetCindy(とCinderella)の紹介 超初心者編」
「慣れとスキルがあれば迅速かつ高度な資料の作成ができる」
高専生、水無月さんの発表はTeX文書に図版を入れるのに便利なKetCindyについて。これさえあればラクにテスト作成ができそうということで、司会の高校教師、タカタ先生も「使ってみたい!」とのこと。
【8】たけのこ赤軍さん
「YOU ARE THE ‘NO.691’ OF MY LIFE」
「この世で一番かっこいい素数ってなんだ?」
正装がバッチリ決まってかっこいいたけのこ赤軍さんは”この世で一番かっこいい素数”、「691」について。なぜ691がかっこいいのか? 保型形式やアイゼンシュタイン級数などの高度な概念を使った怒涛のようなプレゼンの最後に「以上、証明終了。ありがとうございました。」ってなんやそれかっこよすぎるやろ
【9】タカタ先生
「普通に授業しようかなって。」
「センターの裏技をたくさん開発してます」と豪語するタカタ先生の発表はホワイトボードを使ってのガチ授業! 平面幾何の問題をあっという間に解いてしまえる技を紹介してくれました。その速さなんと14秒! 会場からは驚嘆の声が上がっていました。
タカタ先生はお笑いコンビ「タカタ学園」として毎回恒例の数学漫才を披露してもくれました。
相方の我妻さん「バナッハ空間がヒルベルト空間になった???!!!」って、なんか回を経るごとに内容のレベルが上ってません? それで大爆笑が起きるこの空間もすごい。
【10】鯵坂もっちょさん
「もうちょっと行儀のいい関数にしてもらえる?」
最後は「数学のファン」として活動されている鯵坂もっちょさん。ていうかこれ書いてる私なんですけどね。数式お絵かきの話です。いやまあ楽しんでもらえたみたいでよかったんですけど、自分で自分のプレゼンについて「盛り上がりました!」とか書くの辛くない? はい。そんな感じです。
特別企画1「数学キャリアセッション」
U22限定開催ということで、会場にはこれからの進路に悩む方も多いでしょう。そんな方々のための特別企画として、実際に数学を仕事にしている人たちに質問したり議論したりできる「数学キャリアセッション」が開催されました。
「ロマンは世界を変える」という和から株式会社代表の堀口さんによるプレゼンのあと、
前述の千葉逸人さん、数学者として世界を渡り歩いた鈴木智之さん、和から株式会社で数学コーディネーターを務める松中宏樹さん、研究者の清水俊宏さん、前述の堀口智之さんの五人によるセッションが行われ、活発な議論が交わされていました。
千葉先生の「いろんな知識を吸収して下さい。そうすれば自ずと将来の選択肢も拡がります」という一言が印象に残ります。
特別企画2「千葉先生特別講演」
また、今回も特別企画として、千葉先生による「蔵本予想」の紹介が行われました。数式が出てくるところまではいかずにさわり部分の話でしたが、非常にわかりやすくて感激しました。講演後の質問タイムがいい質問ばかりだったことがそのわかりやすさの証左と言えるかもしれません。
プレゼンの合間には、ロマンティストと参加者との歓談タイムが設けられ、活発な議論が交わされていました。
会場には恒例のペガマスからの挑戦状も貼られており、懇親会でタカタ先生に生解説してもらっちゃいました。
おわりに
第8回を迎えるロマンティック数学ナイト、今回は22歳以下限定ということで、いつもとはまた違う雰囲気の会になったように思います。ありていに言えば若いエネルギーにあふれていたわけですが、この国にこんなに数学好きの若者が溢れているというのは希望を感じます。
また、「ロマンティック数学ナイト、いつか参加してみたい」と思っていた人にも参加しやすい機会だったのではないかと思います。U22、次はいつになるかわかりませんがお楽しみに!
そして、何より今回はRedBullJapanさんに、素敵な会場から、大量のレッドブル、当日の準備等々何から何までお世話になりました。この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました!
次回のロマンティック数学ナイトは、10/7~8にわたって開催される数学のお祭り「MathPower」内での出張開催となります。こちらもお楽しみに!
●ロマンティック数学ナイト関連情報は以下からご確認ください!
→ロマンティック数学ナイトWebページ
http://romanticmathnight.org/
→ロマンティック数学ナイトFacebookコミュニティページ
https://www.facebook.com/romanticmathnight/
→ロマンティック数学ナイトtwitter
https://twitter.com/r_mathnight
(文/鯵坂もっちょ)