子供の「みんな持ってる」問題
公開日
2025年1月16日
更新日
2025年2月23日

WAKARAのマスログ(mathlog)シリーズ
今回は、綱島佑介が送る「ただの雑談」第2弾。
子供がよく言う「みんな持っている問題」についてデータを集めて対応した話です。
【主な内容】
1.実際に情報を集めてみる
2.データから考える
3.分解と統合の哲学
4.さいごに
▷【文字で読みたい方はこちら】
➡ https://wakara.co.jp/mathlog/20201215
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子供の要求と家族の反応
ある日、小学生だった子供が学校から帰ってきて、こう言い出しました。
「クラスのみんながDSを持ってるのに、僕だけ持ってない。だから買ってほしい。」
正直、驚きました。
「みんな持ってるって本当か?」と疑問に思ったんです。
それを聞いた同居している私の両親、つまり子供にとっての祖父母は、
「みんなが持っているなら、買ってあげないとかわいそうだねぇ」と言い出します。
いやいや、ちょっと待ってください。
本当にみんなが持っているのか、これはデータを集めて確認する必要があると思いました。
データ収集の開始
私はパソコンを使って、子供のクラス全員の名前をエクセルに入力し、
「持っている」「持っていない」の項目を作成しました。
そして、それをプリントアウトして、子供に言ったんです。
「明日から1週間の間に、このクラス全員にDSを持っているかどうか聞いてきて、この表を完成させなさい。」
さらに、「後で親に確認するから、嘘を書いたらバレるよ」と少しだけプレッシャーをかけました。
1週間が過ぎ、調査シートを回収してみると、驚くべき結果が出ました。
クラス35人中、DSを持っているのはたった6人だったのです。
6人って…35人中6人って、割合で言うと約17%です。
子供が言っていた「みんな」が、6人だったとは。
「みんな」の定義
「みんな」って、一体何%からなんだろう?と疑問に思いました。
子供に「みんなって、何人くらいからそう思う?」と聞くと、
「半分くらいかなあ」と答えが返ってきました。
次に、両親に聞いてみたところ、
「80%くらいが『みんな』って感じるんじゃないか?」という答えが返ってきました。
言葉のあいまいさを痛感しました。
60%でも「みんな」と感じることがあるし、50%以上なら多数決のルールで「みんな」と捉えられることもあります。
でも、今回はどれにも当てはまらなかったので、DSを「みんな持っている」という主張は却下です。
分解と統合の哲学
しかし、ここで終わりではありません。
データ分析で重要なのは「分解と統合の哲学」です。
つまり、データを分解して異なる視点で捉えるということ。
私は子供に、「クラスの中で放課後によく遊ぶ友達に印を付けて」とお願いしました。
すると、4人の名前に印が付きました。
驚いたことに、その4人全員がDSを持っている6人のうちの4人だったのです。
クラス全体で見ると17%しか持っていないDSですが、
子供が普段一緒に遊ぶ5人のグループ内では、80%がDSを持っていることになります。
なるほど、子供にとっての「みんな」とは、クラス全体ではなく、
仲の良い友達のグループだったんですね。
問題解決と意外な結末
問題の本質が見えたところで、私は自分が持っていたDSの1台を貸すことにしました。
「自由に使っていいよ」と言うと、子供は大喜びで遊びに行きました。
実は、私は当時DSを4台持っていたんです。
ゲーマーだったので、モンスターハンターをやるために複数のDSを揃えていました。
数年後、今度は次男が5年生になった時に、同じことがSwitchで起こりました。
長男が横でニヤニヤしながら、「またあのパターンだな」と言っているのを見て、
やはり兄弟でも似たようなことを考えるんだなと苦笑いしました。
結果、私のSwitchをまた1台貸すことになりました。
実はその時、Switchを4台持っていたんです。
世間がコロナの影響で入手困難だった時期にも関わらず、
私だけは4台を確保していました。
これは内緒ですが、ゲーマー魂は健在でした。
次回予告
こんなふうに、データを集めて分析し、分解して考えることで、
日常の問題も解決できることがわかりました。
次回は、さらに一歩進んだデータ分析の面白さについてお話ししたいと思います。
ぜひ、また読みに来てくださいね。