原因と結果の思考法入門 Step2−効果測定法 回帰モデル編−講義抜粋
公開日
2024年12月12日
更新日
2025年1月19日

和から株式会社主催「原因と結果の思考法入門 Step2−効果測定法 回帰モデル編−」講義抜粋。
多変量解析法である回帰モデルを用いた因果の把握法をご紹介いたします。
◎詳細・開催日程はこちら→https://wakara.co.jp/course/10688
回帰モデルの概要
回帰モデルについて簡単に説明します。複数の変数(x1、x2、x3)とその影響を示す係数(β1、β2、β3)を使って、結果を予測するための数式を作成します。このように、複数の変数の関係性を数式で表現することを「回帰モデル」と呼びます。例えば、ある結果に影響を与える複数の原因がある場合、それぞれに対して係数を掛け合わせて結果を算出するのです。これにより、原因と結果の関係が数式で明確に示されることになります。
回帰分析の実施
例えば、売上に影響を与えるデータがいくつかあり、x1、x2、x3という変数が存在する場合、これらにそれぞれ係数(β1、β2、β3)を掛けることで売上を予測します。このモデルでは、x1、x2、x3がそれぞれどれだけ結果に影響を与えるかを計算することができます。回帰分析を使うことで、これらの関係性を数式として理解することができるのです。
回帰係数と信頼性
回帰分析を実施すると、係数(β1、β2、β3)とともに、信頼性を示す「p値」も確認することが重要です。例えば、気温とアイスの売上の関係を調べると、p値が0.05以下であれば、信頼性が高く因果関係があると判断できます。逆に、p値が0.05以上の場合は因果関係がないと考えられます。こうして、因果関係の有無を信頼性の数値で確認することができるのです。
回帰分析における問題点
回帰分析を行う際、データに隠れた交絡因子がある場合、結果が歪んでしまうことがあります。例えば、回収を行った店舗が業績の良い店舗である場合、その店舗の業績が回収の効果に影響を与えている可能性があるのです。このように、回帰分析ではデータに潜む交絡因子を意識することが重要であり、その影響を排除することが信頼できる結果を得るためのポイントとなります。
信頼性と効果の解釈
回帰分析で得られたp値を元に、因果関係の信頼性を評価することができます。しかし、分析を行う際に重要なのは、p値の基準を一定に保つことです。例えば、5%で信頼性を評価するか、10%で評価するかは分析の目的によりますが、基準を変えてしまうと結果の解釈に矛盾が生じることがあります。分析を行う際には、一貫性を保ち、信頼性の高い結論を導くことが求められます。
交絡因子の識別
回帰分析を実施する際、交絡因子が存在すると、原因と結果の関係が不正確になることがあります。例えば、ある店舗が本社から遠い場合、売上に影響を与える可能性があります。これは、店舗の立地が回収に影響を与え、さらにその店舗の売上にも関係しているからです。こうした交絡因子を識別することで、より正確な因果関係を把握することができます。
次回は、実際のデータを使った分析方法について詳しく見ていきます。